ヨーク (イングランド)

ヨーク (York)

ヨークは、イングランド北部のノース・ヨークシャーに位置する都市で、自治体としても機能しています。2018年の中間推計によれば、人口は209,893人です。歴史的に見ても重要な場所であり、古代から現代にかけて多くの変遷を経てきました。

歴史

この地域はローマ時代、属州ブリタンニアの要塞であったエボラクム (Eboracum) として知られていました。「ヨーク」の名称は「イチイの木」から来ていると言われています。考古学的な発見によると、中石器時代の紀元前8000年から7000年には、現代のヨーク周辺に定住者が存在していた可能性がありますが、それが恒久的なものであったのかは不明です。

古代ローマの侵略により、ブリガンテス族やパリジ族がこの地を支配していました。69年、ローマ第9軍団ヒスパナがブリガンテス族を征服し、フォス川とオウス川の交差する場所に軍事要塞を築いたことが、都市ヨークの設立のきっかけとなりました。要塞は後に石造りに再建され、約6000人の兵士が生活したとされています。ローマ時代の遺構はヨーク・ミンスターの地下室で見ることができ、古代の城壁の一部が残っています。

ローマ皇帝たち、特にハドリアヌスやセプティミウス・セヴェルスは、遠征中にこの地に滞在し、セヴェルスはヨークをブリタンニア・インフェリオル県の首都に定めようとしました。セヴェルスが滞在中、彼はヨークに特権を与え、重要な都市としての地位を確立しようとしました。さらに、コンスタンティウス1世もここで亡くなり、彼の息子コンスタンティヌス1世はこの地で君主として即位しました。

7世紀には、アングロサクソン人のノーサンブリア王エドウィンの重要な都市として機能しました。627年に、エドウィンが洗礼を受けた際に最初のミンスターが建設され、後に石造りに再建されました。

866年、ノーサンブリアはヴァイキングの襲撃を受け、ヨークは急成長する港町となりました。ヴァイキングたちはこの地を「ヨルヴィーク」と名付け、商業活動を活発化させました。965年、最後の独立支配者エリク・ブラッダクセは、エドレッド王によりヨークから追放され、イングランドの統一に終止符を打ちました。

1069年には、ウィリアム征服王によりヨークが敵視され、旧アングロサクソン期のミンスターが火災による影響を受けます。この後、ノルマン人は新しいミンスターの建設を決定し、1080年頃から大聖堂の建設が始まりました。ヨークは再び繁栄し、特に羊毛製品の取引で重要な地位を占めるようになりました。

また、1190年には悪名高いポグロムが発生し、ユダヤ人のコミュニティが暴力にさらされた悲劇的な歴史があります。ヘンリー8世の時代には修道院が解散され、ヨークは一時的に衰退しましたが、その後の復興を経て、産業や商業の中心地としての地位を確立しました。

経済と文化

ヨークの経済は観光業に支えられており、歴史的な建造物や文化的な遺産が豊富にあります。大学も多く、特にヨーク大学は教育と研究の質で高い評価を受けています。近年、リーズ大学の一部から独立したヨーク・セント・ジョン大学も存在します。

観光名所としては、12世紀から14世紀にかけて築かれた城壁を巡ることができ、北ヨーロッパ最大のゴシック建築であるヨーク・ミンスターが特に目を引きます。また、ヨーク駅の近くにはイギリス国立鉄道博物館があり、数多くの歴史的な機関車を展示しています。

出身人物

ヨークには多くの著名な出身者がいます。俳優のジュディ・デンチや詩人のW・H・オーデン、サッカー監督のスティーブ・マクラーレンなど、多彩な才能がこの地から生まれています。

姉妹都市

ヨークはフランスのディジョン、ドイツのミュンスター、中国の南京市と姉妹都市提携を結んでいます。

このように、ヨークは深い歴史と文化を持ちながら、現代においても多くの魅力を発信している都市です。

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