ヨーロッパ・エコロジー＝緑の党

ヨーロッパ・エコロジー＝緑の党（EELV）

ヨーロッパ・エコロジー＝緑の党（Europe Écologie - Les Verts、略称：EELV）は、フランスの主要な環境政党の一つです。旧・緑の党と2009年のヨーロッパ・エコロジー欧州議会選挙名簿の合併により発足しました。現在、レア・バラージュ・エル・マリキとジェレミー・クレペルが共同代表を暫定的に務めています。

歴史

2008年の市議会選挙での苦戦後、旧・緑の党内では、フランス国内における環境保護の重要性を再認識し、その影響力を高めるための議論が活発化しました。2009年の欧州議会選挙では、ダニエル・コーン＝ベンディットが中心となり、政党と市民グループが連携する「ヨーロッパ・エコロジー（EE）」という新たな枠組みを発足させました。この戦略が功を奏し、欧州議会選挙で16.3%の得票率を獲得、14議席を得て社会党と並ぶ勢力となりました。翌年の地域圏議会選挙でも12.5%の得票率を得て、ほぼ全ての州議会に代表者を送り込むことに成功しました。そして2010年11月13日、旧・緑の党とヨーロッパ・エコロジーが統合し、現在のヨーロッパ・エコロジー＝緑の党（EÉ-Les Verts）が誕生しました。

党結成後も勢いは衰えず、2011年の統一県議会選挙では、改選前の24議席から49議席へと倍増させました。同年9月の元老院選挙でも、6議席増の10議席を獲得しました。2012年のフランス大統領選挙では、元判事のエヴァ・ジョリ欧州議会議員を擁立し、「20年間でフランス国内の原発を全廃」という公約を掲げましたが、第1回投票では2.3％の得票率で6位に終わりました。しかし、フランソワ・オランド（社会党）が大統領に就任すると、緑の党からセシル・デュフロとパスカル・カナフィンがそれぞれ「地域間・住宅平等大臣」と「外務大臣付開発担当大臣」として入閣しました。

大統領選挙直後の国民議会選挙では449名の候補者を擁立し、17名が当選しました。2020年フランス市議会議員選挙でも勝利を収めています。しかし、2022年には、全国書記のジュリアン・バイユが元妻への「精神的暴力」疑惑で辞任し、レア・バラージュ・エル・マリキとジェレミー・クレペルによる共同指導体制が暫定的に取られることになりました。

理念・政策

EELVは、環境保護を最重要課題として掲げ、持続可能な社会の実現を目指しています。具体的な政策としては、以下のようなものが挙げられます。

農業: 農業の産業化に反対し、地域供給を重視。環境保護に配慮した農業を推進し、農家の生活水準を確保します。国内農業の3割を有機農業に、7割を適正農業規範にすることを目指します。
官庁会計: サルコジ政権下で導入された高所得者向けの減税措置を廃止し、雇用や環境保護に繋がらない経済部門への補助金を削減することで、国家債務の解消を目指します。
経済: 失業問題の解決を最優先課題としています。省エネルギーなどの成長産業を優遇することで、新たな雇用を創出するとともに、労働時間の短縮を推進します。また、GDPに代わる新たな経済指標を導入し、より公正な社会の実現を目指します。
国際関係: EUにおいては連邦主義を支持し、加盟国の教育制度や社会福祉政策の統一を目指します。また、国連安全保障理事会におけるフランスの常任理事国の地位をドイツと共有することを提案しています。
福祉: 格差の拡大は社会の持続可能性を損なうという認識から、自由貿易による貧困層への影響を緩和するための保護政策を支持します。
社会: 個人の自由を尊重し、同性婚や安楽死などの問題について、個人の意思を尊重する立場を取ります。

当選者

国民議会議員: EELV公認…17名、EELV推薦の諸派…1名
元老院議員
欧州議会議員

EELVは、フランスにおける環境保護運動の重要な担い手として、今後もその動向が注目されます。

外部リンク

公式ホームページ（フランス語）

もう一度検索