ライン生産方式

ライン生産方式について

ライン生産方式（ラインせいさんほうしき）は、特定の期間内において一種類の製品を大量に生産するための製造方法です。この手法では、製品の組み立て工程や作業員の配置を一体化（ライン化）し、ベルトコンベアなどの装置を用いて機械に部品を取り付けたり、小規模な加工を行ったりします。一般に「流れ作業」とも呼ばれ、別名「量産方式」とも称されます。この方法は、セル生産方式やラインレス生産方式と対立する概念として位置付けられています。

ライン工

ライン生産方式の現場で作業に従事する作業員は、一般に「ライン工」と称されます。これらの労働者は、単純な組み付け作業を行いますが、高度な専門的な技術は必要とせず、全くの初心者でも数時間のオン・ザ・ジョブ・トレーニング（OJT）を経れば十分に作業を行えるようになります。したがって、この方式は均一な工業製品を安価に大量生産するのに特に適した方法です。

生産条件とタイプ

ライン生産方式を採用するためには、いくつかの前提条件があります。まず、その製品の需要量が予測可能であること、次に専用の工程を設けても経済的に成り立つ需要があること、そして生産が比較的長期間にわたることが求められます。また、ライン生産方式は生産する製品の種類によって分類され、単一品種組立ラインと多品種組立ラインの二つに分けられます。

生産効率を向上させるためには、3S（整理・整頓・清掃）、4S（整理・整頓・清潔・清掃）、5S（整理・整頓・清掃・清潔・躾）と呼ばれる手法が、製品、工程、技術、管理方式の4つの観点から行われます。これらの手法によって生産性は着実に向上する可能性があります。ただし、一時的に流れ作業を終了し、ひとりの作業者が全工程を担当する方式に変えることで、生産効率が下降することもあります。これは作業者がすべての工程を覚えるため、一時的に生産能力が低下するからです。しかし、慣れてくると独自の工夫が生まれ、生産性が逆に向上することもあります。

歴史的背景

ライン生産方式の概念は、1801年に英国でマーク・イザムバード・ブルネルが海軍用の滑車装置製作のためにアセンブリーラインを用いたことが起源とされています。アメリカでは、1890年代にアルバート・ポープが自転車の生産においてこの方法を取り入れ、後に自動車生産においても活用されるようになりました。自動車生産での初のアセンブリーラインを用いたのは1901年のランサム・E・オールズで、その後フォード社が1914年にモデルTの生産工場でベルトコンベアを導入し、この方式を大規模に展開しました。

社会的影響

流れ作業は、単純労働による労働者の意欲低下や高い離職率などの社会問題を引き起こす要因ともなりました。1936年の映画『モダン・タイムス』でも、この労働環境の問題が描かれており、労働者に機械の一部としての忍耐を求めるシステムとして批判されています。それでもこの方式は第二次世界大戦中の軍需品生産に応用され、その後も食品製造を含む工業の広範な分野に普及しました。

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