ライヴ・イーヴル

『ライヴ・イーヴル』（Live Evil）は、ブラック・サバスが1982年に発表したライブ・アルバムです。1981年発表のアルバム『悪魔の掟』発表後のツアーから、選りすぐりのライブ音源を収録。オリジナルLPは2枚組で発売され、ロニー・ジェイムス・ディオ時代のブラック・サバスの熱気をダイレクトに感じられる作品として、長年ファンに愛されています。

制作の背景とメンバー間の確執

しかし、本作の制作は、バンド内に大きな亀裂を生むことになりました。ミキシング作業中、ロニー・ジェイムス・ディオが自身のボーカル・トラックの音量を無断で上げようとしたことが、トニー・アイオミやギーザー・バトラーとの対立の原因になったと言われています。

アイオミは2010年のインタビューで、この件について次のように語っています。

当時、一緒に作業していたエンジニアが深酒をしていて、「ロニーが来て全部の音を調整して、君たちがまた調整して、また彼（ロニー）が来て調整して、俺はどうすればいいか分からないよ！」と言ったんだ。もちろん全くの伝聞で、今となっては（エンジニアの言ったことを）本気で信じていないけど、当時の私達は信じてしまった。

この一件が決定打となり、最終的にディオはヴィニー・アピスと共にバンドを脱退。自身のバンド、ディオを結成することになります。音楽史に残る名バンドの終焉の引き金になった作品として、本作は複雑な背景を背負っています。

アルバムの評価と収録曲

『ライヴ・イーヴル』は、全英アルバムチャートで11週に渡りチャートインし、最高13位を記録。日本ではオリコンLPチャートで35位に達し、『ブラック・サバス4』（1972年）以来のトップ50入りを果たしました。ライブ盤としての評価も高く、ディオ時代の代表曲を網羅した内容で、現在でも多くのファンに聴かれています。

1989年の再発CDでは、1枚にまとめられた際に「ウォー・ピッグス」が外されましたが、その後のリマスターCDでは、全14曲が収録されています。

収録曲

A面
E5150
ネオンの騎士
N.I.B.
チルドレン・オブ・ザ・シー
ヴードゥーの呪い
B面
黒い安息日
ウォー・ピッグス
アイアン・マン
C面
悪魔の掟
ヘヴン&ヘル
D面
南十字星〜ヘヴン&ヘル（パート2）
パラノイド
チルドレン・オブ・ザ・グレイヴ
フラッフ

参加ミュージシャン

トニー・アイオミ - ギター
ロニー・ジェイムス・ディオ - ボーカル
ギーザー・バトラー - ベース
ヴィニー・アピス - ドラムス
* ジェフ・ニコルス - キーボード


『ライヴ・イーヴル』は、ディオ時代のブラック・サバスのライブパフォーマンスを堪能できるだけでなく、バンド崩壊のきっかけとなった曰く付きの作品としても、音楽史にその名を刻んでいます。

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