ラウジッツリンク

ラウジッツリンク：オーバルとロードコースが融合したドイツのサーキット

ドイツのブランデンブルク州南部に位置するラウジッツリンクは、独特のコースレイアウトを持つモータースポーツ施設です。2000年から2010年まではユーロスピードウェイ・ラウジッツとして知られていました。このサーキットの最大の特徴は、ヨーロッパでは珍しいオーバルトラックとロードコースを併設している点にあります。

コースレイアウトと規模

約3.2kmのオーバルトラックは、アメリカのポコノ・レースウェイのようなトライオーバル型で、内側にロードコースが配置されています。コースレイアウトによっては、全長を約4.5kmまで延長することも可能です。さらに、西側には急バンクのU字型コーナーを結ぶ2本の長いストレートを持つテストコースも併設されており、これとオーバルトラックを組み合わせると全長は約12kmになります。ただし、このテストコースは特別なテスト時のみ使用され、一般的なレースイベントでは使用されません。そのため、一般的に「ラウジッツリンク」と言えば、オーバルトラックとロードコースを含むスピードウェイ本体を指します。

ラウジッツリンクは、最大12万人の観客を収容できる大規模な施設です。2万5千席のメインスタンドからは、コース全体を見渡せる絶好の観戦ポイントとなっています。

歴史と現在の状況

2017年7月、自動車用精密機器サプライヤーであるデクラ社がラウジッツリンクの施設を買収し、同年内の一般営業を終了しました。既にサーキット内にデクラのテストセンターが設立されており、同年11月1日付で経営が移管され、ロードカー開発のテストコースとして改装されました。しかし、現在でも年間1回、ドイツツーリングカー選手権（DTM）が開催されており、その際には一般観客も入場できます。

コースレイアウトの変遷

当初はオーバルレースとロードレースの両方が可能なレイアウトで設計されました。DTMなどのロードコースイベントでは、オーバルのターン1の手前にある左コーナーから始まり、ピットレーンと合流した後、ターン2からターン5までのコーナーを走り、ターン5から再びオーバルに合流、オーバルのターン2の手前でインフィールドに戻るルートが採用されていました。2021年のDTMでは、オーバルのターン1を使用し、ロードコースのターン6までを高速レイアウトとするコースに変更されました。これはFIAの認可を得て実現したものです。

重大事故

ラウジッツリンクの歴史においては、2件の大きな事故が記憶に残っています。

2001年4月25日、元F1ドライバーのミケーレ・アルボレート氏が、アウディR8のテスト中にテストコースでタイヤバーストによるクラッシュ事故で亡くなりました。
同年9月15日には、CARTレース中にアレッサンドロ・ザナルディ氏がピットアウト直後にスピンし、他のマシンと衝突、両足を切断する重傷を負いました。

開催レース

現在、ラウジッツリンクでは、ドイツツーリングカー選手権（DTM）とF3が主要なレースとして開催されています。過去には、A1グランプリ、スーパーバイク世界選手権、CART、レッドブル・エアレースなども開催されました。特にレッドブル・エアレースは、メインスタンドからのコース視認性の良さが評価され、2010年、2016年、2017年に開催されました。コース内にはパイロンが設置され、パドックには臨時の滑走路が設けられました。

ラウジッツリンクは、その歴史と独特のコースレイアウト、そして大規模な施設によって、モータースポーツファンだけでなく、自動車メーカーにとっても重要な場所となっています。

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