ラウテン県

ラウテン県は、東ティモール民主共和国の東端に位置する県であり、その面積は1702平方キロメートル、2008年の推計では6万5千人以上が暮らしています。県都はロスパロスで、首都ディリから東へ約248キロメートルの場所にあります。県はさらに、イリオマール、ラウテン、ロスパロス、ルロー、トゥトゥアラの5つの地区に分かれています。

地理的には、西をバウカウ県とヴィケケ県に接し、北はバンダ海、南はティモール海に面しています。特に重要なのは、ティモール島最東端のカップ・クッチャと国内最東端のジャコ島が、この県のトゥトゥアラ地区に属している点です。これらの地域は、その独特な地形と生態系から、重要な自然保護地域となっています。

歴史を振り返ると、ラウテン県にはポルトガル領ティモール時代から行政組織が存在していました。この時代、多くの地名がポルトガル風に改名され、ラウテンはヴィラ・ノヴァ・デ・マラカ、コムはノヴァ・ナザレ、トゥトゥアラはノヴァ・サグレス、ライヴァイはノヴァ・アンコラと呼ばれていました。これらの名前は、ポルトガル植民地時代の歴史を今に伝えています。

ラウテン県は、その自然の美しさでも知られています。美しい砂浜が広がる一方、荒涼とした山岳地帯も存在し、手つかずの自然が残されています。特に、東ティモール固有の鳥類の多くが生息しており、バードウォッチング愛好家にとっては見逃せない地域です。ラウテン市近郊には洞窟壁画があり、古代の生活を垣間見ることができます。また、多くの石棺や自然信仰の聖地が点在しており、歴史的、文化的にも非常に興味深い場所です。

言語に関しても、東ティモールの公用語であるポルトガル語とテトゥム語に加え、パプア諸語のフタルク語がこの地域で話されています。特に、東部地域では約3万人がフタルク語を日常的に使用しており、その多くはフタルク語のみを話します。これは、ラウテン県が多様な文化と言語が共存する地域であることを示しています。

ラウテン県は、その自然の美しさ、歴史、文化、そして言語の多様性によって、東ティモールの中でも特に魅力的な地域の一つです。その多様な側面は、訪れる人々に深い印象を与えることでしょう。

[外部リンク]
* フタルク語の概要が書かれたページ （英語）

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