ラウンデル (紋章学)とは？意味をやさしく解説

ラウンデル：紋章を彩る円形のチャージ

ラウンデル（Roundel）は、紋章学において円形または円盤状のチャージ（図案）の総称です。紋章に幾何学的な要素を加える、シンプルながらも重要な役割を果たします。

ラウンデルの種類と意味

イングランドの紋章学では、ラウンデルの色（ティンクチャー）によって、それぞれ異なる名称が与えられています。これは、他のチャージには見られない特徴です。中世の紋章学では、色と名称の対応は決まっていませんでしたが、近世以降に体系化されました。

ティンクチャー	名称	説明
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オーア	ビザント	金色のラウンデル。ビザンチン帝国の金貨に由来し、平面的に描かれます。
アージェント	プレート	銀色のラウンデル。銀貨を意味し、平らな円盤として表現されます。
ギュールズ	トゥルト	赤色のラウンデル。フランス語で「小さなケーキ」を意味し、聖餐式のパンを象徴するとも言われています。
アジュール	ハート	青色のラウンデル。ハートルベリー（コケモモ）などの果実、または青あざに由来すると考えられています。
セーブル	ペレット	黒色のラウンデル。銃弾や砲弾を意味するガンストーン、ガンショットと呼ばれることもあります。
ヴァート	ポム	緑色のラウンデル。フランス語でリンゴを意味します。
パーピュア	ガールプ	紫色のラウンデル。古いスペイン語で「傷」を意味するgolpaが語源とされ、ウーンド（傷）と記述されることもあります。
テニー	オレンジ	オレンジ色のラウンデル。
サングイン	グーズ	濃い赤色のラウンデル。
アージェントとアジュール（波状）	ファウンテン	水平方向に波状に塗り分けられたラウンデル。泉を意味し、自然色の一種とみなされます。

ラウンデルの形状と数

ラウンデルは、通常、単純な円として描かれます。ただし、プレート、ビザント、ファウンテンは平らな円盤として、それ以外は球体として陰影をつけて描かれることがあります。

1つの紋章に用いられるラウンデルの数に上限はありません。多数のラウンデルが配置された紋章も存在します。

ラウンデルの歴史的背景

ビザントやその他のラウンデルは、十字軍によってイングランドの紋章学に持ち込まれたと考えられています。貨幣をモチーフとしたラウンデル（ビザント、プレート）は、当時の経済状況や文化を反映しています。

まとめ

ラウンデルは、紋章のデザインに多様性と象徴性を与える重要な要素です。色と名称の対応、形状、数、そして歴史的背景を知ることで、紋章の世界をより深く理解することができるでしょう。

参考文献

コウブチ紋章資料館
紋章学総合サイト
中世ヨーロッパの風景「紋章について」
Dragon's Lair「ヨーロッパ紋章学」

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