ラグビーオーストラリア

ラグビーオーストラリア（Rugby Australia Ltd）は、オーストラリアにおけるラグビーユニオン競技を統括する最高運営機関です。1945年にオーストラリアラグビーフットボール協会（Australian Rugby Football Union、ARU）として設立され、その後の組織改編を経て現在の名称となりました。同団体は、オーストラリア国内全域のラグビーユニオン活動の普及・発展、大会運営、選手育成などを管轄しています。国際的には、世界のラグビー統括団体であるワールドラグビー、オセアニア地域の統括団体オセアニアラグビー、そして南半球の主要ラグビー国による連合体SANZAARに所属しています。また、オーストラリアを代表するナショナルチーム、特に男子15人制代表の「ワラビーズ」や女子15人制代表の「ワラルーズ」などの運営・強化を担っています。組織構造としては、国内各州および準州・特別地域を代表する8つの地域協会が下部組織として存在しています。

歴史的変遷

ラグビーオーストラリアの前身であるオーストラリアラグビーフットボール協会は、1945年に誕生しました。それまで、オーストラリアの代表チーム運営は主にニューサウスウェールズ州のラグビー協会が行っていました。協会の設立は、オーストラリアラグビー界の全国的な統合に向けた重要な一歩でした。設立から間もない1948年には、国際ラグビーフットボール評議会（IRFB、現在のワールドラグビー）にニュージーランドや南アフリカと共に正式に加盟し、国際舞台での地位を確立しました。

組織の法人形態についても変化がありました。1985年には協会は株式会社へと転換し、より現代的な運営体制に移行しました。1996年には、南アフリカ、ニュージーランドの各ラグビー協会と共同でSANZAR（現SANZAAR）を設立し、南半球の主要プロリーグであるスーパーラグビーなどを運営する枠組みを作り上げました。翌1997年には、法人名を「オーストラリアン・ラグビー・ユニオン・リミテッド（Australian Rugby Union Limited）」に変更しました。2000年には、IRB（当時）主導で地域統括団体オセアニアラグビーが設立され、同協会もその一員となりました。そして、2017年に現在の「ラグビーオーストラリアリミテッド（Rugby Australia Limited）」という企業名に改称すると同時に、「ラグビーオーストラリア（Rugby Australia）」や「ラグビーAU（Rugby AU）」といった名称をブランド名として広く使用するようになりました。

国内における競技普及状況

オーストラリアでは多様なスポーツが盛んであり、ラグビーユニオンは他の人気プロスポーツとの競争に直面しています。2019年6月に実施された国内のスポーツ観戦に関する調査によると、過去1年間に観戦したスポーツとして、オーストラリアンフットボールが16%で最も多く、次いで13人制ラグビーが9%、サッカーが6%、クリケットが4%と続く中で、15人制ラグビーは3%に留まるという結果でした。

地域によっても人気度には大きな差が見られます。例えば、2010年のオーストラリア統計局による調査では、ビクトリア州や南オーストラリア州では住民の約3割がオーストラリアンフットボールを観戦しているのに対し、15人制ラグビーの観戦率は1%程度でした。また、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州では13人制ラグビーが最も人気が高く、住民の約15%が観戦している一方で、15人制ラグビーは4%程度の観戦率に留まっています。

この15人制ラグビーの国内人気に関する状況について、スポーツ社会学の専門家は、オーストラリアンフットボールや13人制ラグビーがより早期からプロフェッショナル化を進め、メディア露出を強化してきたのに対し、15人制ラグビーが長らくアマチュアスポーツとして運営されてきた経緯が、プロスポーツとしての普及において後れを取る要因であると分析しています。一方で、当時のラグビーオーストラリアCEOは、ラグビーユニオンの国際性が優れている点を強調していました。

主な管轄代表チーム

ラグビーオーストラリアは、国内外の様々なカテゴリーの代表チームを管轄しています。

ワラビーズ (Wallabies)：男子15人制オーストラリア代表チームです。チーム名は体長が比較的小さなカンガルーの一種であるワラビーに由来しており、マスコットキャラクターは「ウォーリー・ザ・ワラビー」です。
ワラルーズ (Wallaroos)：女子15人制オーストラリア代表チームです。チーム名はワラビーよりやや大きなカンガルーの一種であるワラルーから名付けられています。
7人制ラグビー男子オーストラリア代表
7人制ラグビー女子オーストラリア代表
ジュニア・ワラビーズ：U20カテゴリーの男子代表チームで、ワールドラグビーU20チャンピオンシップなどの国際大会に出場します。
Australian Schoolboys：U18カテゴリーの男子代表チームです。

かつて存在したチームとしては、ワラビーズに次ぐチームとして機能したオーストラリアA代表がありましたが、現在はU20代表などにその役割が集約されています。また、U21代表やU19代表も、現在はU20代表として一本化されています。なお、かつて日本代表と対戦した記録のある「オーストラリア・コルツ（Colts）」は、当時のクイーンズランド州のU23チームであり、ラグビーオーストラリアが直接管轄するナショナルチームとは性質が異なっていました。現在の「コルツ」はU20世代の選手で構成されるチームを指すことが多いです。

ラグビーオーストラリアは、同国ラグビーの発展に貢献した多数の著名な選手を顕彰するため、殿堂を設けており、多くの功労者が殿堂入りを果たしています。

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