ラザード

ラザード：国際金融の舞台裏を支える名門投資銀行

ラザードは、機関投資家向けの投資銀行業務、資産運用、そしてファイナンシャル・アドバイザリー・サービスをグローバルに展開する金融グループです。19世紀に創業し、ニューヨーク、パリ、ロンドンを主要拠点として、27か国43都市に事業所を構える国際的な存在です。少数精鋭の体制で知られ、過去にはインドシナ銀行をはじめとする多くの企業への役員派遣や、PSA・プジョーシトロエンなどの大規模合併を仲介するなど、その影響力は計り知れません。

ラザードの歴史

創業期：19世紀の挑戦

1848年、アレクサンドル、ラザール、サイモンのラザード三兄弟が、ルイジアナ州ニューオリンズでドライグッズを扱う商社「ラザード・フレール&カンパニー」を設立したのが始まりです。わずか9000ドルの資本からスタートしたこの会社は、1850年代のゴールドラッシュを機に、カリフォルニアでの輸入・金塊輸出業、そして金融業へと事業を拡大しました。1854年には、アレクサンドルがパリにオフィスを開設し、フランス政府への金塊購入に関するアドバイザー業務を開始。1870年にはロンドンにも進出し、国際的な事業展開を本格化させました。1876年までに投資銀行業務に特化し、1880年にはニューヨークにも拠点を設立しました。

近代：同族経営からグローバル化へ

ラザード家の歴史は、エリエ・ラザール（1796-1841）から始まり、その子孫たちが事業を拡大しました。1848年に設立されたラザード・フレール・アンド・カンパニーは、穀物や綿の貿易から始まり、外国為替などの金融業にも進出。1852年にはパリ支店がフランス政府の正金購入のアドバイザーを務め、パリ銀行との連携を深めました。1877年にはロンドン支店も設立し、同族経営でありながら英仏米の3地域に勢力を分散しました。

現代：金融危機とグローバル展開

20世紀に入り、ラザードは様々な試練と変革を経験しました。1907年の恐慌の影響で、ロンドン家ラザードは1908年に同族支配を脱却。その後、ピアソン傘下に入り、オイルマネーを活用して事業を拡大しました。第二次世界大戦中には、パリ家ラザードがナチス占領下で苦境に立たされるも、戦後にはドイツの財閥解体に参画。1968年にはライネル・グートがパートナーとなり、スイス・アメリカン・コーポレーションのCEOなどを歴任し、ラザードのグローバル化を牽引しました。

1980年代以降は、ジェイコブ・ロスチャイルドのもとでキャリアを積んだRobert Agostinelliがラザードに加わり、欧州での数々の取引に関与。東京がオフショア市場となってからは、日本市場にも深くコミットし、1987年にアセット・マネジメント業務を開始しました。1989年には澄田智氏を迎え、ファイナンシャル・アドバイザリー業務もスタート。

2000年には、投資部門を統合してユーラゼオ（Eurazeo）を設立。ユーラゼオは、1881年設立の「ガスと水道」を母体とし、ダノン、ピアソン、ゼネラリ保険などの長期保有株を含む資産を運用しています。2002年からはブルース・ワッサースタインがCEOに就任。2000年代には、ヨーロッパカーの買収やモンクレール、デシグアルへの投資など、積極的な事業展開を行いました。また、2010年には破綻したギリシャ政府のアドバイザーを務めるなど、国際的な金融問題にも関与しています。

ラザードの強みと特徴

少数精鋭のプロフェッショナル集団： ラザードは、高い専門性を持つ人材が集まることで知られています。
グローバルなネットワーク： 世界各地に拠点を持ち、国際的な取引を円滑に進めることができます。
多様な金融サービス： 投資銀行業務、資産運用、ファイナンシャル・アドバイザリーなど、幅広いサービスを提供しています。
過去の大型案件への関与： 多くの企業合併や金融危機対応に関与し、その経験と実績が評価されています。

ラザードは、19世紀の創業以来、数々の困難を乗り越え、常に時代の変化に対応しながら成長を続けてきた、世界を代表する金融グループです。その歴史と実績は、今日の金融業界においても重要な存在であり続けています。

もう一度検索