ラシュヌ

ラシュヌは、ゾロアスター教において重要な役割を担うヤザタ（神格的存在）の一柱です。彼はミスラの従神であり、スラオシャと同様に暴力の悪神アエーシュマと対立する存在として描かれています。

概要

ラシュヌは正義を司る神として知られ、ミスラとスラオシャと共に、死者の魂に判決を下す三柱の神の一柱とされています。彼の名前は「厳格な公平」を意味し、その名の通り、死者の魂を公平に裁く役割を担います。また、ラシュヌは天国へと続く橋、すなわち「審判の橋」を守護するヤザタでもあります。この橋は、死後の世界への入り口であり、ラシュヌはこの橋を守ることで、死者の魂が正しく裁かれるよう見守っています。

死者の魂がこの世を去ると、ラシュヌは3日間、黄金の天秤を用いて魂の価値を精査します。この期間中、死者の魂は自分の肉体の周りをさまよい、裁きを待つとされています。ラシュヌの裁きは非常に厳格であり、公平であることが求められます。彼の判断によって、魂は天国へと続く道を進むか、あるいは地獄へと落とされるかが決定されます。

審判の橋を渡ることができないと裁かれた魂は、「不義の館」へと引きずり落とされるとされています。この館は、悪行を重ねた魂が苦しみを受ける場所であり、ラシュヌの裁きの厳しさを物語っています。一方、審判の橋を渡ることができた魂は、次の段階として「頌歌の家」へと進みます。この場所で、ラシュヌを含む三柱の神によって、魂は再び秤にかけられます。この最終的な審判において、善行が重ければ天国へ召され、悪行が重ければ地獄へと落とされるとされています。このように、ラシュヌは死後の世界の秩序を維持し、正義を貫く重要な存在です。

ラシュヌの役割は、死後の世界における魂の運命を決定づけるという点で、非常に重要なものです。彼の存在は、ゾロアスター教徒にとって、生前の行いが死後の世界に影響を与えるという教えを強く意識させるものとなっています。

脚注

ラシュヌは、ゾロアスター教における重要なヤザタの一柱であり、死者の魂を裁く役割を担っています。
彼の名前は「厳格な公平」を意味し、その名の通り、公平な裁きを行うとされています。
ラシュヌは、天国へと続く審判の橋を守護し、死者の魂を精査します。
彼の裁きによって、魂は天国へ召されるか、あるいは地獄へと落とされるかが決定されます。

関連項目

ヤザタ：ゾロアスター教における神格的存在の総称。
ユースティティア：正義を意味する概念。ラシュヌの役割を理解する上で重要な概念です。

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