ラジオネーム

ラジオネームとは

ラジオネームとは、ラジオ番組を聴いているリスナーが、番組への参加や意見の投稿、電話出演などを行う際に、自身の本名を伏せて使用する通称やニックネームのことです。個人情報が広く知られることを避けつつ、番組に気軽に、そして継続的に参加できるように設けられた仕組みと言えます。

この「ラジオネーム」という言葉がいつ、どこで生まれたのかについては、いくつかの説があります。有力なものの一つに、北海道の札幌テレビ放送（現在のSTVラジオ）でアナウンサーを務めていた喜瀬浩氏が、自身の番組内で使い始めたことがきっかけで広く浸透した、という説があります。

リスナーがラジオネームを使用する場面は多岐にわたります。かつて主流だった郵便やファクシミリによる投稿はもちろん、近年では電子メールや番組公式ウェブサイトの投稿フォーム、さらにはSNS（Xなど）を通じたメッセージの送信時にも使われます。また、番組への電話出演や、中継、取材先からの参加、スタジオに呼ばれて出演する際にも利用されることがあります。番組に電話をかける際に、受付のオペレーター担当者にラジオネームを名乗って、番組への参加を意思表示することもあります。

すべての参加者がラジオネームを使うわけではありません。ラジオネームを特に定めずに番組に参加したい場合は、「匿名希望」として投稿や参加をすることができます。この場合、番組内でその投稿や意見が紹介される際も、「匿名希望のリスナーさんから」といった形で触れられます。

番組によっては、その内容やコーナーの性質、あるいは放送局や出演者の意向によって、リスナーの本名での参加を推奨したり、場合によっては必須としたりすることもあります。逆に、プライバシー保護や匿名での気軽な参加を重視し、ラジオネームの使用を広く認めている番組も多数存在します。

ラジオネーム以外にも、番組によっては投稿者の呼称に独自の呼び方を用いることがあります。例えば、「ペンネーム」と呼ぶ番組があったり、ファックス投稿に限って「ファックスネーム」、インターネット経由の投稿で一般的な「ハンドルネーム」と称したりすることもあります。さらに、特定の番組や放送局がオリジナルの呼称を定めるケースも少なくありません。具体的な例としては、『さよなら絶望放送』の「絶望ネーム」、『有楽町アニメタウン』の「アニタンネーム」、『星野源のオールナイトニッポン』の「チェリーネーム」など、番組の世界観に合わせたユニークな名前が生まれています。放送局単位では、Kiss FM KOBEが自社制作番組で「Kissネーム」を使用しています。

一方で、ラジオネームの使用を一切認めていない番組や、ポリシーとして本名での参加を求めるパーソナリティも存在します。例えば、ZIP-FMや、ABCラジオの『おはようパーソナリティ道上洋三です』、NACK5の『FUNKY FRIDAY』、RBCiラジオの『民謡で今日拝なびら』、TBSラジオの『永六輔の誰かとどこかで』（内容による）、『山下達郎のサンデー・ソングブック』などが原則としてラジオネームを受け付けていません。また、ピーター・バラカン氏やジョン・カビラ氏のように、「自分の発言に責任を持つ」という考えから、担当番組でラジオネームを認めない方針をとる出演者もいます。文化放送の『ミュージックギフト〜音楽・地球号』のように、リクエストには本名を推奨しつつも、ラジオネームでの投稿の場合は「～という方」と添えて紹介するといった配慮が見られる番組もあります。また、特定のコーナーや企画では本名必須となるルールを設けている番組もあります（例：『林原めぐみのHeartful Station』の合格コール）。中には、リスナー自身が独自の面白いニックネームを付けて投稿するケースも見られます（例：「オタフクソースネーム」など）。BAYFMの『金曜ベイライン』では、紹介する際に「ラジオ人間」と呼ぶ独特のスタイルがあります。

ラジオネームのみで番組に投稿することはよくありますが、これはあくまで番組内での通称として通用するものです。もし番組からのプレゼントやノベルティの送付が決まった場合、ラジオネームだけでは品物を届けることができません。そのため、パーソナリティが放送中にリスナーへ向けて本名や住所などの連絡先を改めて知らせるように呼びかけたり、あらかじめ投稿時に本名や住所を記載しておくよう求めたりする場合があります。特にXなどのSNS経由で投稿する場合、個人情報を公開の場に記載することは避けるべきであるため、当選した際には放送後に番組や放送局の公式アカウントから投稿者のアカウントへ個別にダイレクトメッセージなどを送って、送付先情報を確認する手続きをとることが一般的です。

関連項目

ハンドルネーム
ペンネーム
ハガキ職人
ウェブネーム
スタジオネーム
マイクネーム
* ミュージック・アワー（ポルノグラフィティの楽曲）

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