ラスール・バトラー

ラスール・バトラー：NBAを駆け抜けた才能

ラスール・バトラー（Rasual Butler、1979年5月23日 - 2018年1月31日）は、アメリカ合衆国ペンシルバニア州フィラデルフィア出身のバスケットボール選手です。201cm、98kgの恵まれた体格を活かし、スウィングマンとしてNBAで15シーズンに渡り活躍しました。 彼の名は、ラシュアルやラジュアルといった表記も存在します。

大学時代からNBAへ

バトラーはフィラデルフィアのポイントブリーズ地区で生まれ育ちました。ラ・サール大学では卓越した才能を発揮し、2,125得点という大学歴代4位の記録を残しました。2000得点を突破した6人目の選手となり、2001年と2002年にはアトランティック・テン・カンファレンスのファーストチームに選出されるなど、大学時代からその実力を高く評価されていました。2008年にはラ・サール大学のアスリート殿堂入りを果たしています。

2002年のNBAドラフトでマイアミ・ヒートから2巡目53位で指名され、プロとしてのキャリアをスタートさせました。ヒートでは3シーズンプレーした後、複数の選手が絡む大型トレードでニューオーリンズ・ホーネッツに移籍します。このトレードは、2000年にパトリック・ユーイングを巡る4チーム12人という大規模なトレードを彷彿とさせるものでした。

ホーネッツでは、2007-08シーズンは主にベンチからの出場でしたが、2008-09シーズンは先発として82試合中74試合に出場し、平均11.2得点、3.3リバウンドという活躍を見せました。プレーオフでも存在感を示し、5試合で平均10.6得点、3リバウンドを記録しました。

多数のチームを渡り歩く

その後も、バトラーはロサンゼルス・クリッパーズ、シカゴ・ブルズ、トロント・ラプターズと複数のチームを渡り歩きました。クリッパーズでは、2010-11シーズンに41試合に出場しましたが、その後解雇され、ブルズと契約。さらに、NBAロックアウト中はスペインのリーガACBでプレーする機会もありましたが、出場は叶いませんでした。

トロント・ラプターズでは34試合に出場し、その後、NBAデベロップメント・リーグ（Dリーグ）のタルサ・シックスティシクサーズに加入しました。34歳という年齢でDリーグに挑戦した彼は、若手選手の中でも際立つ活躍を見せ、Dリーグで最もインパクトを与えた選手に選ばれました。

Dリーグでの経験を経て、バトラーは再びNBAの舞台に戻ります。インディアナ・ペイサーズ、ワシントン・ウィザーズ、そしてサンアントニオ・スパーズと契約し、キャリアを続けました。ワシントン・ウィザーズでは、プレシーズンでの好調と主力選手の負傷により、ヘッドコーチからの信頼を得て起用されました。

サンアントニオ・スパーズでは、開幕ロースター入りを目指し競争に参加。最終的にロースター入りを果たしましたが、出場時間は限られ、2016年3月に解雇されました。

突然の死

2018年1月31日、ロサンゼルスで自動車事故により、妻とともに亡くなりました。38歳という若さで、NBAでの活躍を期待されていた矢先の突然の死は、多くのファンに衝撃を与えました。

プレイスタイルと人物像

バトラーの大きな武器はアウトサイドシュートでした。特に、2003-04シーズンには3ポイントシュート成功率46％を記録し、2006-07シーズンには134本の3ポイントシュートを決めるなど、高いシュート精度を誇りました。ディフェンスにも定評があり、典型的な3＆D（スリーポイントシュートとディフェンス）型のロールプレイヤーとして活躍しました。

また、彼は歌手トリーナのミュージックビデオ『Here We Go』にもJ・R・スミスとともに出演するなど、多様な一面も持っていました。

ラスール・バトラーは、NBAで15シーズンに及ぶ長く、そして成功したキャリアを歩みました。彼の才能と献身的なプレーは、多くのファンにとって忘れられないものとなるでしょう。

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