ラッシュ (カナダのバンド)

ラッシュ（Rush）

ラッシュは1968年にカナダのトロントで結成されたスリーピース・ロックバンドで、プログレッシブ・ロックの先駆者として名を馳せています。母国カナダでは国民的な人気を誇り、多くの音楽賞を受賞。特にジュノー賞では数回受賞し、1994年には殿堂入りを果たしました。また、2013年にはロックの殿堂にも名を刻むことに成功しました。

結成と初期の活動

バンドの起源は1968年に遡ります。アレックス・ライフソン、ジェフ・ジョーンズ、ジョン・ラトジーの三人でスタートしましたが、すぐにジェフが脱退し、同年にゲディー・リーが加入しました。彼らは1974年にプロデビューを果たし、その後、脱退したジョンの後を引き継いだニール・パートがドラムに加わることでバンドの核が形成されました。この編成は、その後の解散まで続くことになります。

突然の変革と新たな方向性

デビュー当初、ラッシュはかつてのハードロックの伝統的なスタイルに則り、レッド・ツェッペリンやクリームといったバンドの影響を色濃く受けていました。しかし、ニール・パートが加入することで、その音楽スタイルは大きく変化します。パートは詩的で哲学的な歌詞を提供し、これをサウンドで具現化する意欲を示しました。『フェアウェル・トゥ・キングス』ではシンセサイザーを取り入れ、プログレッシブ・ロックの要素が強まっていきました。

プログレッシブ・ロックの頂点

アルバム『西暦2112年』は、彼らのキャリアにおける大きなマイルストーンです。この作品においては、スケールの大きな構成と、ファンタジーやSF的なテーマを取り入れた歌詞が印象的でした。特に「Cygnus X-1 Book 1」はその後の作品への暗示として「to be continued（続く…）」のフレーズで締めくくっています。続編としての「Cygnus X-1 Book II: Hemispheres」は、さらに彼らの音楽的境地を広げていきました。

ラッシュのスタイルとその進化

ラッシュは次のアルバム『パーマネント・ウェイヴス』において、レゲエやニュー・ウェイヴの要素を取り入れ、音楽スタイルを再構築します。この変化はシンセサイザーの使用の増加や、よりラジオ向けの短い曲作りが背景にありました。そこから生まれた「The Spirit of Radio」や「Freewill」といった楽曲は、キャッチーでありながらも技巧的な演奏スタイルを持っています。

1981年には『ムーヴィング・ピクチャーズ』が登場し、これがバンドの代表作となり、「トム・ソーヤ」や「YYZ」などの名曲が生まれました。この頃、彼らの音楽はシンセサイザーを核としたものであり、さらに多様な音楽性を模索していました。

活動休止と復活

1997年にツアーを終えた後、ニール・パートは私生活での悲劇に見舞われ、バンドはしばしの活動休止に入りますが、2001年に復活し、再び音楽スタイルをハードロックへと回帰させました。最新作『クロックワーク・エンジェルズ』は、彼らの初期のプログレッシブ・ロックを思い起こさせるコンセプト・アルバムとして評価されています。

最後の活動とその後

2015年、ラッシュはデビュー40周年を迎え、最後のツアー「R40」を行いました。このツアー終了後、ニールは再び活動を休止し、2020年1月7日に脳腫瘍によって逝去しました。彼の死を受け、アレックスはバンドの公式活動を終了すると宣言しました。ラッシュの音楽は今も多くのファンに愛され続けており、彼らの影響は今日の音楽シーンにも色濃く残っています。

メンバー

• - ゲディー・リー (Geddy Lee): ボーカル、ベース、キーボード
• - アレックス・ライフソン (Alex Lifeson): ギター
• - ニール・パート (Neil Peart): ドラムス、作詞担当

彼らの革新的なアプローチと音楽性は、ロックの歴史において確固たる地位を築いています。

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