ラドネジのセルギイ

ラドネジの聖セルギイ

ラドネジの聖セルギイ（セルギイ・ラドネシュスキー、1321/22年頃 - 1392年9月25日）は、正教会とカトリック教会で聖人として崇敬される、中世ロシアにおける最も偉大な宗教的・精神的指導者の一人です。至聖三者聖セルギイ大修道院の創設者であり、ロシア[[正教会]]において特に重要な聖人として知られています。カトリック教会では聖セルジオ(ラドネーシュ)と呼ばれています。

生涯

セルギイの誕生年は正確には分かっていませんが、1314年から1322年の間とする説が有力です。洗礼名はヴァルフォロメイ。ロストフの貴族の家に生まれましたが、両親と共にラドネジに移住し、そこで質素な生活を送りました。両親の死後、兄ステファンと共に修道生活を志し、モスクワ近郊のホトコヴォで修道院を探しました。ヴァルフォロメイは兄を説得し、マコヴェッツ丘に小さな教会堂を建て、これが至聖三者聖セルギイ大修道院の始まりとなりました。

その後、兄ステファンは別の修道院へ移り、ヴァルフォロメイはセルギイと改名して修道士となり、森の中で隠遁生活を送りました。しかし、彼の敬虔さに惹かれた人々が集まり、修道院が形成され、セルギイは修道士たちの精神的指導者となりました。彼は自ら労働して模範を示し、修道士たちにも労働による自活を求めました。彼の指導の下、多くの修道士と寄付が集まり、修道院の周りにはポサードと呼ばれる集落が形成され、現在のセルギエフ・ポサードへと発展しました。

修道院の発展と影響

セルギイの修道院は、コンスタンティノープル総主教庁からも認められ、修道院の特許状が与えられました。セルギイとその弟子たちは、共同生活を重んじる修道生活をロシア全土に広めました。ドミートリー・ドンスコイの時代には、セルギイの弟子たちが各地に修道院を設立し、ボリソグレフスキー、フェラポントフ、キリロ・ベロゼルスキーなど、多くの修道院が彼の教えを受け継ぎました。また、モスクワのアンドロニコフ修道院とシモノフ修道院の創設にも深く関わっています。セルギイの弟子たちが設立した修道院は約400にも及び、彼の修道に関する考え方が広範囲に浸透しました。

セルギイは、キエフ府主教アレクシイから後継者に指名されましたが、一介の修道士として生きることを望み、これを断りました。政治的な関与を避け、禁欲的な生活を送りましたが、クリコヴォの戦いでドミートリー・ドンスコイを支持し、ロシアの諸侯が団結することを訴え、「タタールのくびき」からの解放に貢献しました。

死と崇敬

1392年9月25日、セルギイは生涯を閉じました。1422年には、彼の遺体が至聖三者聖セルギイ修道院の至聖三者大聖堂に移され、不朽体として安置されました。1452年にロシア[[正教会]]によって列聖され、彼の記憶日は9月25日（グレゴリオ暦では10月8日）と定められました。現在も、彼の遺体は至聖三者大聖堂に安置され、多くの信者が崇敬に訪れます。普段はガラスで覆われた棺に納められていますが、早朝には蓋が開けられ、不朽体に触れて接吻することができます。

セルギイは、ロシアにおける最も偉大な聖人の一人として、その生涯と教えは今日まで人々に影響を与え続けています。

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