ラピッドX

ラピッドX：インドのデリー首都圏の都市鉄道

ラピッドX（RapidX）は、インドのデリー首都圏で運行される都市鉄道です。最高速度は160 km/hに達し、デリーを中心とした各都市を迅速に繋ぐことを目的としています。2023年10月に最初の営業路線が開通し、今後の発展が期待されています。

設立の背景と歴史

1990年代後半、デリー首都圏では交通の混雑緩和や環境改善が求められ、地域高速交通システム（RRTS）の検討が始まりました。2006年に再度計画が見直され、首都圏計画委員会のもとに具体化されます。そして、2013年には、インド政府や周辺州が出資する形で首都圏交通公社（NCRTC）が設立され、ラピッドXの開発が進むことになりました。

最初に建設が始まったのは、デリーからガーズィヤーバードを経由してメーラトに至る全長82 kmの路線です。2019年3月にはその建設開始が祝われ、2020年にはボンバルディア・トランスポーテーション（現在のアルストム）との間で車両建設の契約が結ばれました。2022年にはドイツのDBインターナショナル・オペレーションズが運営権を獲得し、2023年10月には最初の路線が営業を開始しました。全線の開通は2025年を予定しています。

概要と技術特徴

ラピッドXは、高速での移動を可能とするために設計された鉄道網です。全線は交流電化（25,000 V、50 Hz）が施されており、営業最高速度160 km/h、平均速度100 km/hとなっています。最初に開通した区間は、従来の交通機関に比べて所要時間を大幅に短縮しています。車両は快適性を重視してスラブ軌道で構成され、安定性も向上しています。

信号や保安システムには、ETCS（European Train Control System）のレベル3が採用されています。このシステムにより、地上設備を用いることなく、LTE通信によって列車の位置をリアルタイムで把握できます。これにより運行の効率化や快適なサービスの提供が実現されます。

今後の路線計画

2024年時点で、ラピッドXには8つの計画された路線があります。その中でもデリー-メーラト線やデリー-アルワル線、デリー-パーニーパット線は優先的な建設対象とされ、サライ・カレ・カーン駅での乗り換えが可能になる予定です。また、デリー-メーラト線では一部区間がメーラト・メトロと共有される計画も進行中です。

使用車両

ラピッドXに使用される車両は、ボンバルディア・トランスポーテーションとアルストムが手がけたナモ・バーラト（Namo Bharat）という流線型の電車です。各編成は6両で構成され、全ての車両に空調が完備されています。営業最高速度は160 km/hですが、180 km/hでの運行も可能とされています。また、これらの車両はETCSレベル3に適した構造を持ち、自動運転へも対応できるような設計となっています。さらに、生産は「メイク・イン・インディア」の政策のもと、インド国内で行われているため、地元経済への寄与も期待されています。

結論

ラピッドXは、都市間の交通問題解決や時間短縮を実現するために設計された先進的な鉄道システムとして、インドのデリー首都圏における交通ネットワークの未来を切り開く存在です。

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