ラファール (競走馬)

ラファールは、1971年生まれの日本の競走馬です。同世代には、二冠馬ヒカルイマイなど、優れた競走馬が数多く存在しました。ラファールは、個性的な産駒を多く輩出したテッソを母に持つ、その代表産駒と言える一頭でした。

テッソは長距離を得意とする馬でしたが、ラファールは中距離を得意とした点で、母とは異なる特性を持っていました。彼女の最大の特徴は、重馬場での強さです。「道悪の鬼」「雨女」という異名を持つほど、不良馬場での活躍が目立ちました。特に有名なのは、安田記念での優勝です。このレースでは、見事なパフォーマンスで勝利を収め、その名を広く知らしめました。

しかし、ハンデ戦以外では必ずしも安定した成績を残せたわけではありませんでした。東京新聞杯では、同じく「道悪の鬼」と呼ばれたアカネテンリュウと壮絶な叩き合いを演じ、惜しくも2着に終わっています。このレースは、ラファールの粘り強さと勝負根性を象徴する一戦となりました。

意外なことに、ラファールの重賞2勝目となった京王杯オータムハンデキャップでは、良馬場での逃げ切り勝ちという結果を残しました。これは、彼女の能力の幅広さを示すものでした。牝馬でありながら、長きに渡り第一線で活躍したラファールでしたが、晩年は得意の重馬場でも以前ほどの好成績を残すことができなくなりました。

その後、障害レースにも挑戦しましたが、4戦1勝という成績に終わり、最後は故障により競走を中止せざるを得なくなりました。幸いにも命に別状はなく、引退後は繁殖入りしました。しかし、産駒はわずか2頭という短い繁殖生活でした。ラファールは、1977年7月10日、栃木県ハイランド牧場で腸捻転のため、生涯を閉じました。

ラファールの血統は、非常に由緒あるものです。5代母にあたるオーグメント（競走馬名アスベル）は、天皇賞の前身である帝室御賞典と優勝内国産馬連合競走の勝ち馬という輝かしい戦績を持つ名馬でした。さらに、その牝系を遡ると、小岩井農場の基礎輸入牝馬であるアストニシメントにたどり着きます。

このように、ラファールは、その競走成績のみならず、その血統背景からも、日本の競馬史において重要な一頭を占める存在と言えるでしょう。重馬場での圧倒的な強さと、数々の激戦を経験した逞しさ、そして短くも華麗な競走生活は、多くの競馬ファンに深い印象を残しました。短い生涯でしたが、ラファールは、日本の競馬史にその名を刻み込んだのです。

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