ラブラドール地方

ラブラドール地方の概観

ラブラドール地方は、カナダの大西洋岸に位置する地域で、ニューファンドランド・ラブラドール州の一部を形成しています。大西洋と北極の影響を受け、手付かずの厳しい自然環境が広がっています。この地域は269,073平方キロメートルに及び、ニュージーランドとほぼ同じ面積です。西はケベック州と、北の端ではヌナブト準州と隣接しており、先住民族であるイヌイット、インヌ、メティス族が住んでいます。

人口と文化

2001年の国勢調査によると、ラブラドールの人口は約27,864人。先住民族はそのうちの約30%を占め、地域の文化と歴史に大きな影響を与えています。行政の中心はハッピーバレー・グースベイで、これは第二次世界大戦中に設立された空軍基地の町です。その他、バトルハーバーやラブラドル・シティといった町があり、ラブラドル・シティは内陸にありながら最大人口を誇る鉱山町です。

気候と自然環境

ラブラドールの気候は非常に厳しく、冬は長く寒いのが特徴です。夏は短いですが、内陸部では亜寒帯の森林が見られます。特に大西洋岸では、冬に流氷が見られ、8ヶ月間氷山が存在します。年間降水量は約800mmで、その中の約半分が雪です。この地域はカナダでも有数の豪雪地帯とされ、冬季には多くの降雪が観測されます。

地形は主に高原で、北部にはトーンガット山脈、南部にはミーリー山脈があります。この山々は1500mを超える高さを持ち、その険しい地形が特徴です。また、海岸線には多くの湾が存在し、入り組んだ形状をしています。

歴史的背景

ラブラドールの名称は、1498年にポルトガルの探検家ジョアン・フェルナンデス・ラヴラドールに由来しています。それ以前にも、ノース人のレイフ・エリクソンが10世紀末にこの地を訪れた記録があります。彼は、この地を「森の国」と名付けました。拉致されてきた先住民族との関係や、歴史的な欧州の探検により、多くの入植地が形成されていきました。

20世紀に入ると、鉄鉱石の採掘や水力発電の開発が進み、地域の人口は増加しました。しかし、厳しい生活環境や気候のせいで、漁業は貧困の時代を迎えています。特にタラの激減が問題視されており、乱獲が進んだ結果、多くの漁民が生活を維持できなくなり、移住を余儀なくされています。

現代の動向

現在、ラブラドールでは自治や独立を求める動きが見られます。先住民族のコミュニティは、ラブラドールをインヌ民族のホームランドにするための活動を進めており、ヌナツィアブトと呼ばれる自治政府も設立されています。この地方の文化や歴史は、先住民の伝統と欧州の影響を色濃く反映しています。

このように、ラブラドール地方は多様な歴史と独自の文化を持った地域であり、今後の発展や環境保護が注目されています。

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