ラブレー (競走馬)

ラブレー：競走馬から伝説の種牡馬へ

20世紀初頭、イギリスで活躍した競走馬にして、フランスでその名を刻んだ伝説的な種牡馬、ラブレー。その生涯は、競走馬としての輝かしい戦績と、種牡馬として類まれな成功という二つの大きな章で彩られています。

競走馬としてのラブレー

名門コトンハウススタッドで生まれたラブレーは、イギリスのオーナーブリーダー、アーサー・ジェイムズによって所有されていました。母サティリカル（「風刺的な」の意）という名にちなみ、フランスの風刺作家フランソワ・ラブレーから命名されたと言われています。

11戦6勝という輝かしい戦績を残しました。グッドウッドカップ制覇は、その競走馬としての能力の高さを証明するものです。また、プリンスオブウェールズステークスでの勝利も特筆すべきでしょう。さらに、現役時代には5連勝という快挙も成し遂げています。

しかし、同世代には名馬ロックサンドがいました。クラシック戦線では、そのロックサンドに阻まれ、2000ギニーで3着、エプソムダービーで4着と、惜しくもタイトルには届きませんでした。それでも、その能力は高く評価され、多くのファンを魅了しました。

種牡馬としての成功

競走馬引退後、ラブレーは一旦ロシアに売却されるも、日露戦争の影響で売却契約は破談となります。その後、1904年（あるいは1905年）、フランスに売却され、種牡馬としての道を歩み始めます。

そして、ラブレーは種牡馬として驚異的な成功を収めます。ダーバー（エプソムダービー、ノアイユ賞優勝）、ビリビ（凱旋門賞、ロワイヤルオーク賞優勝、フランスリーディングサイアー）、リアルト、アヴレサック（イタリアリーディングサイアー11回）など、数々の優秀な競走馬を輩出しました。

その成功は、フランスリーディングサイアー3度（1909年、1919年、1926年）という記録にも如実に表れています。フランスを拠点に活躍したことで、セントサイモン系の衰退という時代の波にも大きな影響を受けることなく、その血脈は現在まで続いています。アヴレサックの子孫であるリボーを通じて、その血統は脈々と受け継がれ、現在でも多くの競走馬に影響を与え続けています。また、リアルトの子孫であるワイルドリスクも、かつては大きな勢力を持っていました。

ダーバーは、フランス産馬として2頭目のエプソムダービー優勝馬となりましたが、当時のジャージー規則に抵触する血統であったため、イギリスでは半血馬として扱われたという興味深いエピソードも残っています。

ラブレーの系譜

ラブレーの成功は、単なる競走馬や種牡馬の成功という枠を超え、現代の競馬界にまで大きな影響を与え続けています。その血統は、今も多くの競走馬に受け継がれ、その偉大な遺伝子は、未来の競走馬たちに大きな可能性を秘めているのです。ラブレーという名馬の物語は、競走馬と種牡馬の両面において、伝説として語り継がれるにふさわしい輝かしいものでした。その功績は、競馬史に永遠に刻まれるでしょう。

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