ラマナイ

ラマナイ遺跡の概要

ラマナイ (Lamanai) は、ベリーズのオレンジウォーク郡に位置する古代マヤの遺跡であり、その名は「海面下のワニ」という意味を持ちます。この遺跡は先古典期後期（紀元前500年頃から紀元前300年頃）および後古典期（紀元900年から1532年）の建築物が含まれており、マヤ文明の重要な証拠とされています。

発掘の歴史

ラマナイの発掘調査は、1970年代と1980年代にカナダの王立オンタリオ博物館の考古学者デイビッド・ペンダーガストによって行われました。この調査により、ラマナイの遺跡がもつ歴史的・文化的な重要性が浮かび上がりました。

主要な建造物

ラマナイで最も注目すべき建物は、建造物N10-43です。この建物は、紀元前100年頃に建設されたピラミッド神殿の一部であり、特徴的な2段の階段状基壇の上に小さな4段の階段状基壇が設置されていました。驚くべきことに、この建物は高さ33メートルにも達し、周囲の広場の床面からそびえ立っています。また、先古典期後期には、4メートルにも及ぶ漆喰彫刻の顔が、建物の下部の階段に両脇を飾っていたことがわかっています。

この建物は古典期にも使用され、先古典期後期に築かれた構造の上に新たに古典期の構造が重ねられる形で、マヤの建築技術の変遷が観察されます。

繁栄の理由

マヤの他の地域、特にグアテマラ北部のペテン地方においてはさまざまな都市が放棄されていった時期がありましたが、ラマナイはその影響を受けずに繁栄を続けました。その理由として、ラマナイが位置する地理的条件が挙げられます。具体的には、後古典期にあたる時期に、ホンジュラス西部のモタグァ川の河口からユカタン半島を周回し、タバスコ州へと抜ける重要な交易路に近いことが、大きな要因と考えられます。

さらに、ラマナイ周辺は豊富なカカオ豆の産地であったため、経済的な観点からも繁栄を支えた要素であったことが推測されます。こうした自然条件や経済活動が重なり合った結果、ラマナイは長期にわたってその文化的、経済的な地位を保ったと言えるでしょう。

他の遺跡との関連

ラマナイと同時期の他の遺跡、例えばユカタン半島にあるマヤパンでは、香炉が発見されており、儀式や宗教的な活動が行われていたことが示唆されます。ラマナイもまた、宗教や祭事の中心地として機能していた可能性があり、このような発掘による知見は、当時の文化的なつながりを理解する上で重要な鍵となります。

今後もラマナイを含むマヤ遺跡の研究が進むことで、古代マヤの人々の生活や思想、交易活動の詳細が明らかにされていくことでしょう。

もう一度検索