ラミン

ラミンとは

ラミンは、細胞核内に存在する繊維状タンパク質であり、核の構造維持と遺伝子転写の調節に不可欠な役割を果たしています。中間径フィラメントの一種であるラミンは、核膜の内側で核ラミナという構造を形成し、核の安定性を保っています。

核ラミナの形成

核ラミナは、ラミンが膜タンパク質と結合して形成される網目状の構造です。この核ラミナは、核膜孔の位置を調整する役割を担うほか、細胞分裂の際に核膜が分解・再構成される過程にも関与しています。

ラミンの種類

動物細胞では、主にA型とB型のラミンが存在します。これらのラミンは、分子の長さや等電点が異なり、それぞれ特徴的な機能を持っています。

B型ラミン: 全ての細胞に存在し、核の基本的な構造を維持しています。B1型ラミンはLMNB1遺伝子、B2型ラミンはLMNB2遺伝子によってそれぞれコードされています。
A型ラミン: 原腸陥入後にのみ発現し、細胞の分化や特定の細胞機能に関与しています。ラミンAとラミンCは、LMNA遺伝子のスプライシングによって生成される、最も一般的なA型ラミンです。ラミンCは組織特異的な発現を示します。

ラミンの構造と機能

ラミンは、核ラミナを構成する主要なタンパク質であると同時に、核質全体に膜状に分布しています。その構造は、細胞骨格を構成する中間径フィラメントと類似していますが、ラミンにはコイル1bに42残基多く存在します。C末端には核局在化シグナルやIg型ドメイン、そしてイソプレニル化・カルボキシメチル化を受けるCaaXボックスが含まれています（ラミンCを除く）。ラミンAはさらに、C末端の15残基とファルネシル化システインが除去されるという特有の修飾を受けます。

ラミンAとラミンCは、頭部と尾部が結合したホモダイマーを形成します。細胞分裂時には、有糸分裂促進因子によってラミンがリン酸化され、核膜から解離します。その後、染色体分離が完了するとラミンは脱リン酸化され、核膜と再び結合します。

関連用語

中間径フィラメント: 細胞骨格の一種で、ラミンの仲間。
核ラミナ: ラミンが構成する核膜の内側の構造。
ラミノパシー（ラミン病）: ラミンの遺伝子変異によって引き起こされる疾患群。

外部リンク

Lamins - MeSH (英語) - アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス

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