ラミーヌ・ディアック

ラミーヌ・ディアック

ラミーヌ・ディアック（Lamine Diack、1933年6月7日 - 2021年12月3日）は、セネガルの陸上競技界で重要な役割を果たし、国際陸上競技連盟（現在のワールドアスレティックス）の第5代会長を務めた人物です。彼はセネガルの首都ダカールで生まれ、1950年代後半には走幅跳選手として活躍しました。1958年にはフランス選手権で優勝し、また1957年から1960年までの期間中、フランス記録と西アフリカ記録を保持するなど、彼のアスリートとしてのキャリアは華々しいものでした。

ディアックはスポーツ界でのキャリアを後に様々な公職に生かしました。彼は1973年から2003年までアフリカ陸上競技連盟の会長を務め、1978年から1980年までダカール市長、1995年から2001年までセネガル水道公社のCEOも歴任しました。また、1983年から1993年まではセネガル国会の下院第一副議長を務めました。これにより、彼は陸上競技界だけでなく、広く公共事業にも貢献しました。

ディアックは国際スポーツ界での影響力を持ちながらも、晩年に不正問題に直面することになりました。彼は、経営破綻したスポーツマーケティング企業ISL社からの収賄疑惑で調査を受けました。IOC倫理委員会による調査で、彼は1993年に合計で6万ドルを受け取ったことが確認され、IOCから「利益相反状況にあった」と見なされました。ディアックは収賄の事実を否定し、自宅が全焼したことを受けての支援金であると主張しましたが、彼の信頼性は大きく揺らぎました。

2015年8月にIAAF会長を辞職した後、彼はケニアとロシアのドーピング問題に関しての捜査が進行し、その影響でIOC委員を辞めることとなりました。特に、リオデジャネイロオリンピック招致のための賄賂事件に絡んで、彼は数件の贈収賄を受けた疑いが持たれました。ブラジルのリオ大会組織委員会の元会長は、彼に対して贈賄のための起訴を受け、実刑の判決を受ける事態になっております。

ディアックが日本との関係に及ぼした影響も見逃せません。国際陸上競技連盟の会長として、彼は東京放送ホールディングスとのパートナーシップ契約の延長を行い、日本における陸上競技のマーケティング活動にも寄与しました。電通がIAAF主催の大会のマーケティング権を取得し、長期間にわたりその権利を維持したことも重要です。電通は、2020年から2029年までの間、IAAFとの契約を更新し、国際陸上競技連盟の大会の独占的なマーケティング権を確保しました。

また、ディアックの息子であるパパマッサタ・ディアックも、東京五輪の汚職問題で名前が挙がる等、彼の家族もスポーツ界での影響力を持つ者となっています。社会的な影響とともに、彼のキャリアとその後の問題は、スポーツ界における倫理と透明性の重要性を再認識させるものとなりました。

ディアックは2021年12月3日、世を去りましたが、彼の功績や問題は、今後の国際スポーツ界においても語り続けられることでしょう。

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