ラムセス4世

ラムセス4世概説

ラムセス4世（Ramesses IV）は、紀元前1151年から紀元前1145年までの間、古代エジプト第20王朝の第3代ファラオとして統治しました。彼の即位名はヘカマアトラーであり、王位に就く前はアメンヘルケプシェフとなっていました。

生涯と即位

ラムセス4世は、偉大なファラオとされるラムセス3世の5番目の王子として、王妃ティティの間に生まれました。彼の兄たちの中から先に後継者として指名されていた4人が早くに亡くなったため、ラムセス4世は父の治世22年目に皇太子として立身します。彼が皇太子として記録に残しているのは、アメン神殿の第三神官アメンエムオペトの墓の中での出来事です。そこに記された内容によれば、彼はラムセス3世の治世27年目に、この神官の地位に就任していたのです。

王位を継承する混乱の時

ラムセス3世の治世の後期、彼の異母兄弟ペンタウラーと側室ティイによる陰謀が浮上しました。この陰謀の結果、ラムセス3世は実際に命を落とすことになります。この暗殺事件に関与した者たちは多数おり、ラムセス4世はこれを受けて即座に混乱を収束させ、王位を継承します。彼は関与者を捕らえて裁判を行い、多くが有罪判決を受け、その大部分が処刑されたという歴史があります。そのため、ラムセス4世の即位時は彼自身すでに40歳を過ぎていました。

建築活動と短い治世

治世中、ラムセス4世はワディ・ハンママートやシナイ半島の鉱山へ大規模な採掘部隊を派遣し、獲得した資源を利用して、父ラムセス3世や先王たちによって築かれた神殿群を増築していきました。彼自身の名のもとに記念碑も次々と建設し、特にオシリスに捧げられたアビドスの記念碑では自身の治世が長く偉大なものであるよう祈る内容が描かれています。その願いにもかかわらず、彼の統治期間はわずか6年に留まりました。ラムセス4世の死後は、息子のラムセス5世が王位を継承します。

新王国時代の終焉

ラムセス4世の治世は、新王国時代のエジプトでの最後の大規模な建築活動として知られています。彼の統治後、その時代の王の治世に関する記録は急激に減少していくことになります。彼の存在と受けた教訓は、その後のエジプトの歴史に深く影を落としました。

ラムセス4世のミイラ発見

1889年、ラムセス4世のミイラがKV35号墓で発見され、腸や眼窩にタマネギや乾燥した苔が用いられていたことから保存状態が良好であったことが伺えます。彼の身長は160センチとされ、顔立ちや身体の形状がそのまま保たれていました。

参照文献

• - ピーター・クレイトン, 『古代エジプト ファラオ歴代誌』
• - ジョイス・ティルディスレイ, 『古代エジプト女王・王妃歴代誌』
• - エイダン・ドドソン、ディアン・ヒルトン, 『全系図付エジプト歴代王朝史』
• - その他多くの歴史資料

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