ラムバー

ラムバー (Rambhā)

ラムバーはインド神話の世界で、その美しさから多くの神々に愛され、その策略に利用されたアプサラス（天女）です。彼女は「ランバー」とも呼ばれることがありますが、その起源は乳海の攪拌にさかのぼります。この神話的な出来事は、インドの多くの聖典に描かれており、ラムバーの存在は特に注目されています。

彼女の物語は、叙事詩『ラーマーヤナ』や『マハーバーラタ』においても描かれています。『ラーマーヤナ』によれば、ラムバーは偉大な神クベーラの息子ナラクーバラの妻とされています。さらに、聖典『ヴィシュヌ・プラーナ』では、太陽神スーリヤの馬車に乗る12人のアプサラスの一人としてその名が挙げられています。これらの記述から、ラムバーはインド神話において欠かせない存在であることが理解できます。

神話の中のラムバー

古代の文献『パドマ・プラーナ』では、インドラがヴリトラを討つためにラムバーに命じる場面があります。インドラは、ヴリトラを誘惑するために彼女の美貌を利用しました。ラムバーは禁じられたスラー酒をヴリトラに飲ませ、その隙にインドラが彼を討ち取ったのです。このように、ラムバーは時折神々の策略の一部として使われることがありました。

また、彼女は偉大なる聖者ヴィシュヴァーミトラを誘惑する任務にも携わりました。インドラに変身したカッコウが見守る中、ラムバーはヴィシュヴァーミトラに近づきましたが、彼はその策略を見抜き、彼女を1年間の間、大理石に変えてしまいます。このエピソードは、彼女の運命の複雑さを表しています。

さらに、ラムバーは悪名高き羅刹王ラーヴァナにも遭遇します。『ラーマーヤナ』では、ラーヴァナがラムバーの美しさに心を奪われ、彼女を手に入れようとする場面が描かれています。ラムバーはナラクーバラの妻であることを告げて拒みましたが、ラーヴァナはその言葉を信用せず、彼女を無理に手に入れようとしました。しかし、ナラクーバラが「女性から同意を得ずに犯した者は頭が裂ける」という呪いをかけたことで、ラーヴァナは後に、王子ラーマの妻であるシーターにも手を出せなかったのです。これらのストーリーは、『マハーバーラタ』でも触れられ、ラムバーの存在が他の神話にも影響を与えていることを示しています。

仏教との関連

興味深いことに、ラムバーは仏教の文献にも登場します。上村勝彦は、『法華経』の「陀羅尼品」において、十羅刹女の中で「ランバー（藍婆）」という名前が挙げられていることに触れています。このように、ラムバーはインドの神話に限らず、仏教においても重要なキャラクターであることがわかります。

結論

ラムバーは、その美しさと神々への影響力によって、インドの神話の中で確固たる地位を占めています。彼女の物語は、神々の策略、誘惑、さらには人間やその他の神々との関係性を描き出しており、インドの神話における重要なテーマに光を当てています。彼女の存在を理解することは、インド神話の全体像を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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