ラムペティエー

ラムペティエー（古希: Λαμπετίη）は、古代ギリシアの神話世界に現れる、女神あるいはニュムペー（精霊）の一柱です。その名は「光り輝く者」といった意味を持ち、太陽神ヘーリオスとの関わりを示すものと考えられます。発音には揺れがあり、ランペティエー、あるいは長母音を省略したラムペティエ、ランペティエといった表記も用いられます。彼女に関する伝承は一つではなく、系譜や役割においていくつかの異なる側面が語り継がれています。

最もよく知られる伝承の一つでは、ラムペティエーは太陽神ヘーリオスと、ニュムペーであるネアイラとの間に生まれた娘とされます。彼女にはパエトゥーサという姉妹がおり、この二人の娘は父ヘーリオスのために特別な役目を担っていました。ヘーリオスは、神聖で不死身の牛や羊の群れを所有していましたが、娘たちにその世話を託し、遠く離れたトリーナキエー島に移して見守らせたと伝えられています。叙事詩に語られるオデュッセウスの長い帰国の旅の途中、一行はトリーナキエー島に漂着することになります。当初オデュッセウスはこの危険な島を避けようとしましたが、船員たちの強い要望に逆らえず上陸を余儀なくされました。島に足止めされ、食料が尽きかけた飢えに苦しむ中、狡猾なエウリュロコスに率いられた船員たちは、主であるオデュッセウスが眠っている隙を狙い、神聖なるヘーリオスの牛を屠ってその肉を食らったのです。この冒涜的な行いは、島で家畜を見守っていたラムペティエーによって即座に太陽神ヘーリオスに伝えられました。自身の神聖な財産を侵害されたヘーリオスは激しく怒り、最高神ゼウスに彼らの行為に対する報復を強く訴えました。ヘーリオスの訴えを聞き入れたゼウスは、船員たちが再び海へ漕ぎ出した直後、恐るべき雷霆をもって彼らの船団を打ち砕きました。こうして、神の怒りを買った船員たちはことごとく滅ぼされたのです。

別の伝承では、ラムペティエーは太陽神ヘーリオスと、アイティオピアーの王メロプスの妻であるクリュメネーとの間に生まれた娘、すなわちヘーリアデスの一員とされます。彼女は、ヘーリオスの太陽の戦車を御したが失敗し、命を落とした青年パエトーンの姉妹にあたります。この伝承において、母については河神アーソーポスの娘ローデーであるとする異説も存在します。パエトーンがその短い生涯を終えたとき、ラムペティエーは他のヘーリアデスの姉妹たちと共に、兄弟の悲劇的な死を深く、そして絶え間なく嘆き悲しみました。彼女たちの流す涙は大地に染み込み、その悲嘆のあまり、姉妹たちはやがてポプラの木へと姿を変え、流した涙は琥珀になったと語られています。

さらに、これらの伝承とは異なり、ラムペティエーが医術の神として知られるアスクレーピオスの母親であるとする説も一部には存在します。ただし、アスクレーピオスの母としては、アポローンの恋人であるコローニスが広く知られており、ラムペティエーを母とする伝承は異説、あるいは少数説と考えられます。

このように、ラムペティエーはヘーリオスの娘として、彼の神聖な財産の守護者として、あるいは兄弟の死を悼むヘーリアデスとして、さらにはアスクレーピオスの母として、複数の異なる文脈で語り継がれており、その存在はギリシア神話の多様な物語の中で様々な側面を見せています。

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