ラリー・ソーン

ラリー・アラン・ソーン

ラリー・アラン・ソーン（Lauri Allan Törni）は、1919年 5月28日にフィンランドのヴィープリで生まれ、三つの異なる国で軍人として戦った人物です。彼はフィンランド国防軍の大尉、ナチス・ドイツ武装親衛隊の将校、そしてアメリカ陸軍の将校として、それぞれの軍で目覚ましい活躍を見せました。そのため、彼は「三つの旗の下で戦った兵士」として知られています。フィンランド語の出生名はラウリ・アラン・トルニ(Lauri Allan Törni)であり、アメリカに渡ってからラリー・アラン・ソーンと名乗るようになりました。

若年期

トルニは、父ヤルマリと母ローザの間に生まれました。父はフィンランド砂糖会社に雇われた貨物船の船長で、トルニも入隊前は父の船で船員として働いていました。彼は1938年 9月3日にフィンランド国防軍に入隊し、機関銃中隊に配属されました。その後、下士官学校を経て1939年3月1日に伍長に昇進しています。

第二次世界大戦

冬戦争と継続戦争

1939年秋、トルニの兵役期間が完了する直前に冬戦争が勃発しました。トルニは予備役将兵として軍に残留し、マルッティ・ヌルミ中佐率いる第4猟兵大隊に配属されました。この大隊は敵後方への浸透攻撃を任務としており、トルニはラドガ湖方面で戦いました。1940年1月、ヌルミ中佐が事故死し、マッティ・アールニオ少佐が新たな大隊長に着任しました。トルニはレメッティにおけるソ連軍の包囲殲滅作戦に参加し、その英雄的な活躍が上官に認められました。冬戦争終盤には少尉に昇進しています。

1941年、ナチス・ドイツの武装親衛隊ヴィーキング師団にフィンランド義勇兵大隊が編成されると、トルニは武装親衛隊に入隊しました。しかし、士官不足のためすぐにフィンランド国防軍に呼び戻されました。その後、継続戦争において、トルニは遊撃戦を専門とする第2遊撃戦中隊、通称「トルニ支隊」の指揮官に就任しました。この部隊は敵戦線後方への破壊工作を目的とし、その戦果は両軍で評判になりました。後にフィンランド大統領となるマウノ・コイヴィストも、この部隊に所属していました。

トルニ支隊はソ連軍に大きな損害を与え、ソ連軍当局はトルニに懸賞金を掛けました。これはソ連軍が懸賞金を掛けた唯一のフィンランド将校でした。1944年 7月8日、トルニはマンネルヘイム十字章を受章しました。

親独派レジスタンス運動と武装親衛隊

1944年 9月19日、モスクワ休戦協定が締結され継続戦争は終結しましたが、トルニはこの協定に反対し、フィンランド国防軍を脱走しました。彼はナチス・ドイツの特殊部隊ゾンダーコマンド・ノルトの支援を受け、親独派レジスタンス運動を設立しました。1945年1月22日、トルニはドイツ本土に渡り、破壊工作の訓練を受けた後、武装親衛隊に配属されました。彼はゾンダーコマンド・ノルトの隊員として、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、そして東部戦線で特殊作戦に従事し、4月15日には武装親衛隊大尉に昇進しました。その後、デンマークでの作戦中にイギリス軍に捕えられましたが、すぐに脱走しました。

戦後

1945年夏、トルニはフィンランドに帰国しましたが、ソ連の影響下にあったフィンランドでは、ナチス・ドイツへの協力を理由に多くの元軍人が弾圧されていました。トルニも秘密警察に逮捕されましたが、脱走しました。1946年に再逮捕され、反逆罪で有罪判決を受けましたが、1947年には刑務所を脱走しフィンランドを逃れました。その後、1948年に大統領特赦により恩赦されました。

1949年、トルニは戦友と共に偽造旅券を使ってスウェーデンに逃れ、その後アメリカへ渡りました。

アメリカ合衆国へ

1950年、トルニは貨物船に潜り込んでアメリカに渡り、フィンランド系アメリカ人のコミュニティの支援を受けながら生活していました。1953年頃、元OSS長官ウィリアム・ドノバンの協力を得て、正式な定住許可を得ることができました。

アメリカ軍人として

1954年、トルニはアメリカ陸軍に入隊し、ラリー・ソーンという英語名を使い始めました。彼はフィンランド系将校のグループと親交を深め、特殊部隊の創設に尽力しました。ソーンはスキー、登山、サバイバル、ゲリラ戦術の教官を務め、その後、空挺学校を卒業し、1957年にはアメリカ陸軍中尉、1960年には大尉に昇進しました。1958年から1962年にかけては、西ドイツに配置された第10特殊部隊グループに所属し、イラン・ザグロス山脈での捜索救助任務で功績を上げました。1963年、特殊部隊A-734に参加し、メコンデルタで戦い、名誉戦傷章を2度受章しています。

1965年、ソーンは南ベトナム軍事援助司令部付研究・観察グループの教官となりましたが、1965年 11月18日、特殊任務中にヘリコプターが撃墜され、消息不明となりました。少佐への昇進が決定した直後の出来事でした。彼の遺骨は長らく発見されませんでしたが、1999年に発見され、2003年 6月26日にアーリントン国立墓地に埋葬されました。彼は、アーリントン国立墓地に埋葬されている唯一の武装親衛隊員です。

その後

コロラド州フォート・カーソンには、ラリー・ソーンの慰霊碑が設置されました。フィンランドでは、生存していた家族やトルニ支隊の元隊員がラウリ・トルニ記念財団を設立しました。ロビン・ムーアの小説「グリーン・ベレー」の主人公スヴェン・コルニエはラリー・ソーンをモデルとしています。また、2004年のテレビ番組「偉大なるフィンランド人」では、ラウリ・トルニは52位に選ばれました。

階級及び受賞

フィンランド国防軍

階級
[1938年]]9月3日：[[二等兵]
[1939年]]3月1日：[[伍長]
[1940年]]5月9日：[[少尉]
1942年3月27日：[中尉]
[1944年]]8月27日：[[大尉]
1950年10月6日：軍籍が削除
受章
1940年7月26日：二級自由勲章
1940年8月24日：一級自由勲章
1941年10月9日：三級自由十字勲章
1942年5月23日：四級自由十字勲章
1944年7月9日：マンネルヘイム十字章
冬戦争従軍記章
継続戦争従軍記章金賞
第1師団記念記章
海外猟兵記章
国防軍勲章銅賞

武装親衛隊

階級
1941年5月18日：武装親衛隊少尉
1945年4月15日：武装親衛隊大尉
受章
1943年12月11日：二級鉄十字章

アメリカ陸軍

階級
1954年1月28日：二等兵
1954年 5月28日：一等兵
1954年12月20日：上等兵
1955年4月28日：伍長
1955年11月17日：軍曹
1957年1月9日：中尉
1960年11月30日：大尉
[1965年]]12月16日：[[少佐]
受章
銅星章
陸軍称揚章
名誉戦傷章(2度受章)
勲功章
陸軍善行章
国防従軍章
ベトナム戦線記念記章
ベトナム従軍記章
空軍勲章
戦闘歩兵章
落下傘記章(Master)
殊勲飛行十字章
特殊部隊第1連隊の名誉隊員称号
殊勲部隊章

参考文献

Cleverley, J. Michael: Born a Soldier, The Times and Life of Larry Thorne, October 2008, Booksurge.
Cleverley, J. Michael: Syntynyt Sotilaaksi, November 2003, Otava Publishing Co.
Cleverley, J. Michael: Lauri Törni Yrke Soldat, October 2008, Svenskt Militärhistoriskt Bibliotek.
Gill III, H. A.: The Soldier Under Three Flags, June 1998, Pathfinder publishing.
Kallonen, Kari - Sarjanen, Petri: "Legenda - Lauri Törni, Larry Thorne", 2004, Revontuli Publishing Co.
Kirjallista dokudraamaa, Jouko Heynon arvostelu Agricola-listalla kirjasta Lauri Törni. Syntynyt sotilaaksi, Cleverley, J. Michael (suom. Juha Väänänen), Otava, 2003

脚注

外部リンク

More on Larry Thorne, by J. Mike Cleverley
More information
Special Forces Association Larry A. Thorne Memorial Chapter 33 website
Facts about Larry Thorne
Lauri Törni Photographs

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