ラリー・ヴァン・クリート

ラリー・ヴァン・クリート（Larry Van Kriedt、1954年7月4日 - ）は、アメリカ合衆国出身でオーストラリアを拠点に活動するジャズミュージシャンです。彼は、ハードロックバンドAC/DC|AC_DCの結成時のベーシストとして広くその名を知られています。

1973年11月にAC/DC|AC_DCが結成された際、その初期ラインナップは、マルコム・ヤング（リズムギター）、アンガス・ヤング（リードギター）、デイヴ・エヴァンス（リード・ボーカル）、コリン・バージェス（ドラム）、そしてヴァン・クリート（ベース）という構成でした。ヴァン・クリートはベースだけでなく、サクソフォーンも演奏します。また、彼は日本の音楽シーンとも繋がりがあり、ガールズバンドyonigeのギター、ボーカルを務める牛丸ありさは彼の姪にあたります。

生い立ちと音楽の道

ヴァン・クリートは、幼少の頃から様々な楽器に親しんでいましたが、元々はサンフランシスコの音楽一家の出身です。彼の父、デヴィッド・ヴァン・クリート（David van Kriedt）は、著名なジャズミュージシャンであり、作曲、編曲、演奏の全てをこなす才能の持ち主でした。父はデイヴ・ブルーベック、ポール・デズモンド、スタン・ケントンといったジャズ界の巨匠たちとも共演経験があります。幼い頃から、ラリーの生活の中心には常に音楽、特にジャズがありました。9歳でダブルベース、12歳でギターを始め、15歳になるとサクソフォーンとボーカルも演奏するようになりました。彼は父からジャズの理論、和声、作曲、編曲などを徹底的に教え込まれました。

1969年、15歳の時にヴァン・クリート一家はオーストラリアのシドニーへ移住します。移住後間もなく、ラリーはアンガス・ヤングと知り合い、アンガスとその兄マルコム・ヤングと親交を深めます。当時、ラリーはすでにジャズギタリストとして高い評価を得ていました。1973年には、AC/DC|AC_DCのオリジナルメンバーとして、初めてのスタジオセッションを経験します。

AC/DC|AC_DCでの活動とその後

ヴァン・クリートがAC/DC|AC_DCに在籍したのは僅か4ヶ月でしたが、バンドの初期を支えた重要なメンバーでした。1974年2月に脱退し、後任としてニール・スミス（Neil Smith）が加入します。その後、AC/DC|AC_DCは数ヶ月の間、ベーシストが定まらず、何度かメンバーチェンジを繰り返しました。4月にはロブ・ベイリーが加入しますが、1975年1月には解雇され、その後一時的にヴァン・クリートがバンドに復帰し、穴を埋めることもありました。最終的に、マルコム・ヤングか、ヤング兄弟の兄であるジョージ・ヤングがベースを担当することになり、3月にはマーク・エヴァンスが正式メンバーとして加入しました。

ヴァン・クリートは、AC/DC|AC_DCの歴史の中で、唯一のアメリカ合衆国生まれのメンバーです。

AC/DC|AC_DC脱退後、ヴァン・クリートは多岐にわたる音楽スタイルを追求し、アーティスト、プロデューサーとして数多くのアルバムを制作しました。また、彼は自身の録音スタジオを運営しています。The Eighty Eights、Non Stop Dancers、Def FX、Afram、The LPs、The Larry Van Kriedt Quartetといったバンドにメンバーとして参加し、作曲、録音した楽曲はオーストラリア、日本、ニュージーランド、アメリカ合衆国、ヨーロッパで高い評価を得ています。彼は北米をはじめ、世界中で音楽活動を展開しています。

1997年から1999年まで、ヴァン・クリートはモロッコに滞在し、自らが率いるバンドAfamとともに、ラジオ、テレビ、コンサートで活躍しました。1998年には、エッサウィラで開催された第1回グナワ・フェスティバルで、チャリティ資金を集めるために貢献しました。モロッコを離れた後は、バスキングをしながら世界各地を旅し、ロンドンからプロヴァンスを経てシドニーに戻りました。この頃から、ジャズのスタンダード曲のバッキングトラックの制作を始めました。

2002年、ヴァン・クリートは世界で初めて、ジャズのバッキングトラックをオンラインでダウンロードできるサイト「Jazzbacks.com」を開設しました。

2007年、ポール・アグバコバ（Paul Agbakoba）と共にThe LPsを結成し、現在も精力的に活動を続けています。

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