ラルジャン

映画『ラルジャン』の概要

『ラルジャン』（L'Argent）は、フランスの映画監督ロベール・ブレッソンによる1983年のドラマ映画です。これは監督の最後の作品であり、レフ・トルストイの短編小説『にせ利札』を原作としています。ブレッソンは本作によって第36回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞しましたが、体調を崩し、その後新作を撮ることなく1999年に逝去しました。

あらすじ

本作品は、原作の全2部のうち、些細な犯罪が引き起こす悲劇を描く第1部のみを現代フランスの舞台に合わせて映像化しています。物語は、一枚の偽札が引き金となり、登場人物たちの運命を大きく揺さぶる様子を追っています。第2部には人々の改心が描かれていますが、ブレッソンはその部分を取り入れることなく、物語を悲劇的な結末で締めくくります。

キャスト

主要なキャストには以下の俳優が出演しています：

• - クリスチャン・パティ
• - カロリーヌ・ラング
• - バンサン・リステルッチ
• - マリアンヌ・キュオー

それぞれの俳優が、複雑な人間関係と道徳的葛藤を描くキャラクターを見事に演じています。

評価と受賞歴

フランスでは1983年5月18日にMK2 Diffusionによって公開され、多くの批評家から高い評価を得ました。また、第36回カンヌ国際映画祭ではアンドレイ・タルコフスキー監督の『ノスタルジア』と並んで監督賞を受賞しました。さらに、第9回セザール賞では音響賞にノミネートされ、全米映画批評家協会賞では監督賞を獲得しました。これらの評価からも、本作の持つ独自の映画美学が認められています。

結論

『ラルジャン』は、ブレッソンの独自のスタイルが色濃く反映された作品であり、ストーリーの進行やキャラクターの心理描写、そして存在する社会的テーマについて深く掘り下げています。本作を通じて観客は、些細な行為がもたらす結果や人間の持つ闇に対して、考えさせられる機会を得るでしょう。ブレッソンの遺作として、持つ意味も大きく、映画史に残る重要な作品となっています。

参考資料

• - ラルジャン - allcinema
• - ラルジャン - KINENOTE
• - L'Argent - IMDb
• - The Forged Coupon and Other Stories - プロジェクト・グーテンベルク

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