ランズダウン侯爵

ランズダウン侯爵家：輝かしい歴史と数々の爵位

ランズダウン侯爵位は、イギリスのグレートブリテン貴族に属する由緒ある爵位です。その起源は、13世紀から続くアイルランド貴族であるケリー伯爵家（ケリー＝リックナウ男爵家）にまで遡ります。 この家系の分家に当たるウィリアム・ペティが、1782年から1783年にかけてイギリス首相を務めた後、1784年にランズダウン侯爵に叙せられたことが、ランズダウン侯爵家の始まりとなります。

ケリー伯爵家からの繋がり

ケリー＝リックナウ男爵位を代々継承してきたフィッツモーリス家。その当主である初代ケリー伯爵トマス・フィッツモーリスの次男、ジョン・フィッツモーリスは、ホイッグ党の庶民院議員を務めた後、母方の姓であるペティを名乗り、様々な爵位を授与されました。アイルランド貴族フィッツモーリス子爵、ダンケロン男爵、シェルバーン伯爵に叙位され、さらにグレートブリテン貴族としてウィコム男爵にも叙せられています。

ランズダウン侯爵家の創始と繁栄

ジョンの長男、ウィリアム・ペティは、父の後を継ぎ第2代シェルバーン伯爵となり、イギリス首相の座に就きました。アメリカ独立戦争の講和条約であるパリ条約の締結も彼の在任中に成し遂げられました。首相退任後、彼はランズダウン侯爵、ウィコム伯爵、キャルネ＝キャルストン子爵に叙せられ、ランズダウン侯爵家の礎を築きました。

その後、ランズダウン侯爵家は、幾多の世代に渡りイギリス政治の中枢で活躍します。2代、3代侯もホイッグ党の有力政治家として、内閣大臣などの要職を歴任しました。特に3代侯ヘンリー・ペティ＝フィッツモーリスは、本家であるケリー伯爵家の絶家によって、ケリー伯爵位、クランモーリス子爵位、ケリー＝リックナウ男爵位を継承し、姓をペティ＝フィッツモーリスと改めました。

4代、5代侯も政治家として活躍し、5代侯ヘンリー・ペティ＝フィッツモーリスは保守党政権で外務大臣を務め、日英同盟や英仏協商の締結に貢献しました。また彼は、スコットランド貴族ネアーン卿位も継承しています。

近代以降

6代侯以降も、ランズダウン侯爵家はイギリス政治に影響を与え続けました。しかし、7代侯の戦死により、爵位継承に複雑な状況が生じ、ネアーン卿位はランズダウン侯爵位と分離されました。現在の当主である第9代ランズダウン侯爵チャールズ・ペティ＝フィッツモーリスは、ランズダウン侯爵位に加え、ケリー伯爵、シェルバーン伯爵、ウィコム伯爵、クランモーリス子爵、フィッツモーリス子爵、キャルネ＝キャルストン子爵、ケリー＝リックナウ男爵、ダンケロン男爵、ウィコム男爵といった数多くの爵位を保有しています。

ボーウッド・ハウスと一族のモットー

ランズダウン侯爵家の本邸は、ウィルトシャー州キャルネにあるボーウッド・ハウスです。一族のモットーは、「言葉ではなく勇気を持て (Virtute Non Verbis)」であり、その家系の歴史と伝統を象徴しています。

現在のランズダウン侯爵

現代においても、ランズダウン侯爵家は、イギリスの歴史と伝統を繋ぐ重要な存在として、その地位と影響力を維持しています。長年にわたる政治的貢献と、代々受け継がれてきた数々の爵位は、ランズダウン侯爵家の歴史的意義を物語っています。その系譜は、イギリス貴族社会における重要な一端を担っていると言えるでしょう。

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