ランチア・LC2

ランチアLC2：ポルシェ956に挑んだイタリアの雄

ランチアLC2は、1980年代前半の世界耐久選手権(WEC)を席巻したポルシェ956に対抗すべく、ランチアが開発したグループCカーです。1982年シーズン、ランチアはグループ6車両のLC1で参戦していましたが、翌1983年からグループC規定が導入されることに伴い、LC2の開発に着手しました。

LC2の開発：軽量かつ空力性能に優れたマシン

LC2のシャシーは、ダラーラ社が製作したアルミニウム製のツインチューブモノコック構造。前面投影面積を極限まで小さくするため、フロントトレッド1470mm、リアトレッド1344mmというナロートレッドを採用し、全幅はポルシェ956より200mm狭い1800mmに抑えられました。サスペンションはオーソドックスなダブルウィッシュボーン式ですが、リアロアアームはアンダーフロアの気流を妨げないように工夫されています。

リアウイングは、当初はリアカウルに装着されていましたが、1984年からはトランスミッションにマウントされるようになり、マシンのトレッド幅も年々拡大されました。徹底的な軽量化と空力性能の追求が、LC2開発の大きな特徴です。

強力な心臓部：アバルトチューンV8エンジン

LC2のパワーユニットは、フェラーリ308GTBのV型8気筒エンジンをアバルトが2.6リットルツインターボ化したものです。後にCARTマシンであるフェラーリ637にも流用されたこのエンジンは、高い出力とトルクを発生しました。排気量は1984年のル・マン24時間レースから3.0リットルに拡大されました。このパワフルなエンジンと、優れた空力性能を組み合わせることで、LC2はポルシェ956に匹敵する速さを実現しました。

ポルシェに挑むも、信頼性の壁

予選ではポルシェと互角の速さを誇ったLC2でしたが、決勝レースでは信頼性の問題に悩まされました。1983年の開幕戦モンツァから1986年第2戦シルバーストンまでの間に、わずか3勝しか挙げることができませんでした。1985年には、ル・マン24時間レースとホッケンハイムを除く全レースでポールポジションを獲得するものの、決勝での勝利はスパ・フランコルシャンでの1勝のみという結果に終わっています。

ワークス活動終了後も…

1986年シーズンをもってランチアはワークス活動を終了し、LC2はムサットへ売却されました。ムサットは、1988年にはアバルトチューンのV型10気筒エンジンを搭載するなど、継続してLC2を改良し、1991年シーズンまで参戦を続けましたが、目立った成績は残せませんでした。

日本での活躍

[1985年]]には、日本のガレージ伊太利屋がLC2を輸入し、[[全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権]に参戦させました。日本のレースファンにも、その勇姿が記憶されていることでしょう。

まとめ

ランチアLC2は、ポルシェ956という強敵の前に、その潜在能力を十分に発揮することはできませんでしたが、軽量・コンパクトな車体と強力なエンジンを備えた、魅力的なグループCカーでした。その挑戦は、今もなお多くのモータースポーツファンに語り継がれています。LC2の開発には、ランチアの技術陣の情熱と、レースへの強い意志が込められていたことは間違いありません。また、日本のレースシーンでも活躍したことは、LC2の歴史における重要な一頁と言えるでしょう。

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