ランナウェイ (シャネルズの曲)

シャネルズのデビューシングル『ランナウェイ』の魅力

『ランナウェイ』は、1980年2月25日にリリースされたシャネルズ（後のラッツ＆スター）のデビューシングルです。この曲のタイトルは、1961年にデル・シャノンが発表した名曲『悲しき街角』の英語原題「Runaway」から名付けられました。シャネルズは当初、アマチュアグループとして知られ、いくつかのCMソングも手掛けていましたが、『ランナウェイ』を通じて、その人気が一気に広まりました。

楽曲の制作背景

『ランナウェイ』は、パイオニアのラジカセ『ランナウェイ』のCMソングとして制作されました。最初は1コーラス分だけがレコーディングされ、その後の評判を受けてレコード化が決定されました。このシングルの歌詞にはパイオニアの商品名が使われ、ソニー系列のレコード会社からリリースされることになりました。

楽曲の制作は、CM映像を手掛けた木村俊士に依頼された音楽ディレクター椙山由美が中心となり進められました。椙山は「オールディーズ風の楽曲」をテーマに、井上忠夫に作曲を依頼し、さらに湯川れい子に作詞をお願いしました。湯川は過去にヒット曲「ブルー・シャトウ」の歌詞を批判したことがあり、井上との関係がどうなるか不安でしたが、依頼を引き受けました。

作詞のプロセス

湯川が作詞で受け取ったイメージは、真夏の空の下、アムトラックの列車が駅へ進入し、その前にラジカセを担いだ金髪の少年がいるというものでした。30秒と1分のCM用にこのシーンに合う詩を書くことが求められました。渡されたデモテープには「ランナウェイ」と歌い出す簡潔なフレーズがあり、湯川はデル・シャノンの曲を思い出しながら歌詞を考えました。

その結果、過去の恋愛経験からのインスピレーションを得て「二人だけの遠い世界」に連れて行くというテーマを掘り下げていきました。CM放映後、この楽曲は大人気となり、シングル化されることが決定しました。驚くことに、デビュー曲でありながらミリオンセラーを達成し、湯川には作詞の依頼が次々と舞い込むこととなりました。

名作となった理由

当初、歌い出しのフレーズは「君がとても好きさ」でしたが、椙山の判断でインパクトを高めるために「ランナウェイ〜」というフレーズに変更されました。この変更が曲の印象を大きく左右したといえます。

シャネルズのメンバーの一人である田代まさしは、ゲームソフト『田代まさしのプリンセスがいっぱい』のグッドエンディングにこの曲を使用していることでも知られています。また、1997年にはNTTドコモ関西のCMでも替え歌として使用され、楽曲の認知度をさらに高めました。

音楽性と収録

『ランナウェイ』の英語バージョンは、ロサンゼルスの『ウィスキー・ア・ゴーゴー』でのライブ用に湯川れい子が作詞しました。このアレンジはアルバム『LIVE AT WHISKY A GO GO』に収録されています。

CMの成功により、この楽曲はラジカセ『ランナウェイ』の販売にも大きな影響を与えました。そして、オリコンでは約98万枚という記録が残り、110万枚を超えるヒットを生み出しました。これにより、シャネルズは音楽シーンにおいての存在感を確立し、永続的な人気を誇るアーティストへと成長することができたのです。

『ランナウェイ』は、シャネルズの音楽的な出発点であり、今なお多くの人に愛される楽曲としてその名を刻んでいます。

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