悲しき街角

悲しき街角 (Runaway): デル・シャノンの代表曲

「悲しき街角」（英語: Runaway）は、1961年2月にデル・シャノンが発表したシングルで、彼のキャリアを決定づけた楽曲です。特徴的なファルセットと、短調から長調へのドラマチックな転調が聴衆を魅了し、同年4月から4週連続で全米1位を獲得する大ヒットとなりました。

誕生の背景

デル・シャノンは、元々軍隊に所属し、その後はカーペットの販売員として生計を立てていました。しかし、音楽への情熱を諦めきれず、バンド活動を続けていた彼は、「悲しき街角」の成功によって、一躍ソロのメジャーアーティストの仲間入りを果たしました。

この曲の制作には、モー・ウェクスラーがピアノ演奏で、シャノンのバンド仲間であるマックス・クロクがクラヴィオリン演奏で参加しています。特に、クロクが考案したクラヴィオリン（ミュージトロンとも呼ばれる）の間奏は、楽曲に独特の彩りを添えています。ちなみに、当初のタイトル案は『リトル・ランナウェイ』でした。

日本での受容

「悲しき街角」は、日本でも『悲しき街角』の邦題で大ヒットしました。この曲以降、シャノンの他の楽曲の邦題にも「街角」が使われるようになり、彼は「街角男」という愛称で親しまれるようになりました。

飯田久彦と柳ジョージが、それぞれ日本語でカバーしたバージョンを発表しています。

飯田久彦（1961年）
柳ジョージ（1983年）

柳ジョージによるカバーは、「ランナウェイ (悲しき街角)」として1983年4月16日にリリースされました。この曲は、彼が同年に発表したアルバム『VACANCY』の先行シングルとして発表され、MBS系-シリーズ水曜の女『擬装結婚』の主題歌にも起用されました。アルバムに収録されたバージョンは、アレンジはそのままに、柳ジョージが原曲バージョンとして歌唱したものです。カップリング曲には、柳ジョージ&レイニーウッドが1978年に発表したアルバム『Time in Changes』に収録されていた楽曲「CROSS-EYED WOMAN」のセルフカバーが収録されています。

その他のアーティストによるカバー

「悲しき街角」は、数多くのアーティストによってカバーされています。以下はその一部です。

スリー・ファンキーズ（1962年）
ローレンス・ウェルク（1962年、インストルメンタル・バージョン）
ベンチャーズ（1963年）
スモール・フェイセス（1967年）
ボビー・ヴィントン（1975年）
西城秀樹（1977年、カバー・アルバム『ロックンロール・ミュージック/ヒデキ』に収録）
ボニー・レイット（1977年）
トラヴェリング・ウィルベリーズ（1990年）
斉藤和義（2004年、アルバム『青春ブルース』に収録）
クイーン+ポール・ロジャース（2008年、アルバム『ザ・コスモス・ロックス』に収録）

後世への影響

「悲しき街角」は、その革新的な音楽性で、後世のミュージシャンにも大きな影響を与えました。

ビートルズのジョン・レノンは、1964年の楽曲『アイル・ビー・バック』の制作にあたり、「悲しき街角」を参考にしたと証言しています。
シャネルズの『街角トワイライト』（1981年）は、タイトルからも「悲しき街角」の影響がうかがえます。
* トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの『Runnin' Down a Dream』（1989年）には、「Me and Del were singin, 'Little Runaway'」という歌詞が含まれています。


デル・シャノンの「悲しき街角」は、時代を超えて愛される不朽の名曲として、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。

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