ラ・ガリソニエール (駆逐艦)

ラ・ガリソニエール (D638): フランス海軍の対潜戦実験艦

ラ・ガリソニエール(La Galissonière, D638)は、第二次世界大戦後のフランス海軍再建計画において誕生した駆逐艦です。既存のシュルクーフ級やデュプレ級といった艦隊護衛艦をベースに設計されましたが、それらとは異なり、対潜戦能力の向上に重点が置かれた点が大きな特徴です。

対潜戦能力の強化: ラ・ガリソニエールは、フランス海軍が当時開発していた最新の対潜兵器を多数搭載していました。マラフォン対潜ミサイルや4連装305mm対潜迫撃砲といった強力な攻撃手段に加え、低周波ソナーDUBV-23や可変深度ソナーDUBV-43といった探知能力も向上していました。さらに、フランス海軍の駆逐艦としては初めてヘリコプターを搭載可能にしました。ユニークな棺型のハンガーは、壁面が開閉することでヘリコプター甲板の一部となる機構を備えていました。

兵装と装備の近代化: 主砲は、従来のModèle 1948 54口径127mm連装砲から、新開発のModèle 1953 100mm単装速射砲（後にModèle 68に更新）に変更されました。砲射撃指揮装置もDRBC-11からDRBC-32Aへと更新され、射撃精度が向上しました。当初は20～30mm高角機銃の搭載も検討されましたが、最終的には搭載されませんでした。

建造と運用: ラ・ガリソニエールは、1956年度計画に基づき、ロリアン工廠で1958年11月に起工、1960年3月12日に進水、そして1962年7月9日に就役しました。就役後は、搭載された新装備の運用試験に携わりました。1960年代末には、対潜兵器や水測装備の試験が完了し、嚮導艦としての役割を担うことになりました。この際に、305mm対潜迫撃砲は撤去され、魚雷発射管も数が減らされました。当初は地中海に配属されていましたが、1981年には大西洋へ転属しています。

実験艦としての役割: ラ・ガリソニエールは、単なる駆逐艦以上の役割を果たしました。搭載された最新の対潜兵器やソナー、ヘリコプター運用システムなどの試験運用を通じて、フランス海軍の対潜戦技術の進歩に貢献しました。その実験データは、後続艦の設計や運用に活かされたと考えられます。

技術的な革新: ヘリコプターの搭載は、フランス海軍の駆逐艦において画期的なものでした。対潜哨戒ヘリコプターの運用は、対潜能力の飛躍的な向上に繋がり、この成功は後のフランス海軍艦艇の設計に大きな影響を与えたでしょう。また、棺型のヘリコプターハンガーという独特な設計も、ラ・ガリソニエールの特徴の一つです。

まとめ: ラ・ガリソニエールは、フランス海軍が第二次世界大戦後の再建期に建造した駆逐艦の中でも、特に対潜戦能力の向上に重点を置いた画期的な艦でした。数々の最新兵器を搭載し、実験艦としての役割を果たしたのち、嚮導艦として長くその任務を全うしました。ラ・ガリソニエールは、フランス海軍の近代化、特に対潜戦技術の発展に多大な貢献をした艦艇と言えるでしょう。

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