ラ・グアイラの海戦 (1743年)

ラ・グアイラの海戦：イギリス海軍の苦戦

ラ・グアイラの海戦は、1743年3月2日にベネズエラの港湾都市ラ・グアイラで発生しました。この戦いは、ジェンキンスの耳の戦争中に、イギリス海軍がスペイン領への攻撃を仕掛けたものです。しかし、イギリス艦隊は予想外の抵抗に遭い、大きな損害を被る結果となりました。

背景

1741年と1742年、イギリス海軍は大規模な遠征を行いましたが、1743年にはより小規模な襲撃作戦に方針を転換しました。エドワード・ヴァーノン提督の後任として、サー・チャロナー・オーグル提督がスパニッシュ・メインの貿易港への攻撃を計画。ラ・グアイラの守備が手薄だと判断したことが、この地を標的とした理由でした。

サー・チャールズ・ノウルズ提督率いるイギリス艦隊は、70門艦「サフォーク」や「バーフォード」など計19隻で構成され、アンギラ島から出撃しました。ノウルズはラ・グアイラの守備を過小評価していましたが、スペイン側は2か月前に攻撃の警告を受け、守備を強化していました。

戦闘の経過

イギリス艦隊はラ・グアイラ港に接近し、偵察隊が内港を調査。スペイン側は狼煙を上げてカラカスに警告を発し、ガブリエル・ホセ・デ・スロアガ・モユア総督は民兵を率いて海岸へ急行しました。スペイン守備隊はオランダから調達した火薬を用いて、イギリス軍の攻撃に備えました。

正午頃、イギリス艦隊は停泊地に侵入し、砲撃を開始。スペイン側も6門の大砲で応戦し、激しい砲撃戦が展開されました。しかし、スペインの砲撃は予想以上に正確で、イギリス軍は上陸を断念せざるを得ませんでした。3時間半後、「バーフォード」は錨綱を切って離脱、「エルタム」も損傷し、他の艦との衝突も発生。日没とともに砲撃は収まりましたが、イギリス艦隊は大きな損害を被りました。

翌日、臼砲艦「コメット」が散発的な砲撃を再開しましたが、3月5日にはノウルズはフランスの商船を攻撃しようとして失敗。3日間の戦闘で600人もの死傷者を出し、ノウルズはラ・グアイラ攻略を諦めざるを得ませんでした。

その後

ノウルズは近隣のプエルト・カベヨを攻撃しようとしましたが、別行動をとった艦隊との合流に失敗。艦隊の修理後、再びプエルト・カベヨへ向かいましたが、逆風と海流に阻まれ、サン＝ドマング東端に到着したのは4月19日のことでした。

ラ・グアイラの海戦は、イギリス海軍にとって大きな痛手となりました。守備の脆弱さを見誤ったこと、スペイン側の抵抗が予想以上に強かったことが、敗北の要因として挙げられます。この戦いの後、ノウルズはプエルト・カベヨへの攻撃を試みましたが、結局失敗に終わり、スパニッシュ・メインにおけるイギリスのプレゼンスは一時的に低下しました。

この海戦は、ジェンキンスの耳の戦争における一つのエピソードとして、イギリス海軍の戦略と限界を示すものとなりました。

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