ラ・バンク・ド・ロア

ラ・バンク・ド・ロア：歴史と美が息づく結婚式場

ラ・バンク・ド・ロアは、神奈川県横浜市中区山下町に位置する結婚式場です。その建物は、1921年に露亜銀行横浜支店として建設され、関東大震災や横浜大空襲といった激動の時代を生き抜いてきました。横浜に現存する唯一の外国資本の銀行建築遺構として、その歴史的価値は非常に高く、多くの人々を魅了しています。

歴史

1921年、露亜銀行横浜支店として誕生したこの建物は、銀行の撤退後、様々な用途で利用されました。J・H・モーガン設計事務所、横浜市瓦斯局、ドイツ領事館と変遷を遂げ、第二次世界大戦後は進駐軍に接収されました。その後、横浜入国管理事務所、警友病院の別館として使用された後、長らく空き家となっていました。しかし、2005年に県有地の活性化を目指す公募により大和地所が選定され、2010年から2011年にかけて大規模な修復工事が行われました。そして、2011年9月、株式会社ワールドサービスによって結婚式場「ラ・バンク・ド・ロア」として新たなスタートを切りました。

旧露清銀行横浜支店

露亜銀行は、1910年に露清銀行と北方銀行の合併によって設立されました。その前身である露清銀行は、1902年に横浜支店を現在のラ・バンク・ド・ロアの近くに開設していました。この旧露清銀行横浜支店は、ドームを設けた華麗な建築でしたが、関東大震災で損壊し、1987年に取り壊されました。現在ではその痕跡はほとんど残っていません。

建築

ラ・バンク・ド・ロアの建物は、煉瓦造りから鉄筋コンクリート構造へと移行する過渡期に建設されたため、両方の構造が混在しています。バロック様式の建物をコンクリート造で建設した初期の例として、横浜で最後に建設されたバロック建築とされています。他の銀行建築と比較して、個々の装飾が大きい点が特徴的です。ギリシャ風の円柱やエントランスの破風、内部の大理石の階段は、結婚式場へのリノベーションの際にもそのまま残され、往時の姿を今に伝えています。また、露亜銀行時代に使用されていた金庫は、ギャラリーとして活用されています。

この建物は、2006年11月1日に横浜市指定有形文化財に指定され、2013年度には「第6回横浜・人・まち・デザイン賞」を受賞するなど、その歴史的・文化的価値が広く認められています。

ラ・バンク・ド・ロアは、単なる結婚式場ではなく、横浜の歴史と建築美を体現する特別な場所です。その重厚な雰囲気と美しい内装は、訪れる人々に深い感動を与え、忘れられない思い出を創り出すでしょう。


参考文献
吉田鋼市『ヨコハマ建築慕情』鹿島出版会、1991年5月20日、94-95頁。ISBN 4-306-04284-7。
NPO法人横浜シティガイド協会『ハマの建築探検』神奈川新聞社、2002年6月26日、68-69頁。ISBN 978-4-87645-315-3。
川本明生『東京&横浜の長寿建築 続』深夜叢書社、2014年7月、129頁。ISBN 978-4-88032-416-6。

外部リンク
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