ラーオメドーン

ラーオメドーンは、ギリシア神話に登場するトロイアの王であり、イーロスとエウリュディケーの子として生まれました。彼は、数多くの妻を娶り、ティートーノス、ラムポス、クリュティオス、ヒケターオーン、ポダルケース（後のプリアモス）、ヘーシオネー、キラ、アステュオケー、そしてブーコリオーンなど、多くの子をもうけました。また、ガニュメーデースも彼の子であるという説も存在します。

トロイアの城壁

ラーオメドーンは、その傲慢さを示すエピソードが数多くあります。特に有名なのは、アポローンとポセイドーンを騙してトロイアの城壁を築かせたという話です。神々は人間に姿を変えてラーオメドーンに仕えましたが、城壁が完成すると、彼は約束の報酬を支払わず、神々を侮辱しました。怒ったアポローンはトロイアに疫病を、ポセイドーンは海の怪物を送り込みました。怪物によって人々が苦しめられる中、ラーオメドーンは神託により、娘のヘーシオネーを怪物に捧げなければならないと告げられます。

ヘーラクレースとの戦争

ヘーラクレースは、ゼウスからトロース王に与えられた神馬を欲し、トロイアに立ち寄りました。彼は、ヘーシオネーが怪物の生贄にされようとしているのを目撃し、トロースの馬を報酬として怪物を退治すると申し出ました。ラーオメドーンは承諾し、ヘーラクレースは怪物の腹の中で3日間も戦い、見事これを倒しました。しかし、ラーオメドーンは報酬を支払うのを拒んだため、ヘーラクレースはトロイアに復讐を誓い、立ち去りました。

その後、ヘーラクレースは軍を率いてトロイアに攻め込みました。ラーオメドーンは抵抗しましたが、テラモーンに城壁を破られ、トロイアは陥落。ラーオメドーンはヘーシオネーとポダルケース以外の子供たちとともに殺害されました。ラーオメドーンの傲慢さが、最終的にはトロイアの滅亡につながったと言えるでしょう。

系図

ラーオメドーンは、多くの子供をもうけましたが、その中で特に重要なのは、後にトロイア戦争で活躍するプリアモス（ポダルケース）と、ヘーラクレースに助けられたヘーシオネーです。ラーオメドーンの家系は、トロイアの歴史において重要な役割を果たしました。

このように、ラーオメドーンは神々や英雄を欺き、自らの傲慢さによって災いを招いた人物として描かれています。彼の物語は、神話における人間の傲慢さの危険性を示す教訓とも言えるでしょう。また、彼の行動は、トロイア戦争へと繋がる重要な出来事として、後世の物語に大きな影響を与えています。

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