ブーコリオーン

ブーコリオーン（古希: Βουκολίων, Būkoliōn）は、ギリシア神話に登場する複数の人物の名前です。長母音を省略してブコリオンとも表記されます。以下に、主なブーコリオーンについて解説します。

ラーオメドーンの子ブーコリオーン

最もよく知られているブーコリオーンは、トロイア王ラーオメドーンとニュムペー（妖精）のカリュベーの間に生まれた息子です。彼はラーオメドーンの長男であり、泉のニュムペーであるアバルバレエーとの間に、アイセーポスとペーダソスという二人の息子をもうけました。

一説によると、このブーコリオーンはトロイア戦争の際にトロイアの長老の一人として名を連ねていたとされています。しかし、ラーオメドーンとその子供たちは、プリアモスを除いてヘーラクレースによって殺害されたとも伝えられています。ブーコリオーンの二人の息子、アイセーポスとペーダソスは、後にトロイア戦争でギリシア軍の英雄エウリュアロスによって討たれたとされています。

その他のブーコリオーン

ラーオメドーンの子以外にも、ブーコリオーンという名の人物が複数存在します。

ヘーラクレイダイのブーコリオーン: ヘーラクレイダイの一人であるクレスポンテースと、アルカディア王キュプセロスの娘との間に生まれたホライアースの子として、ブーコリオーンがいます。このブーコリオーンは、ピアロスの父とされています。

アルカディア王リュカーオーンの子ブーコリオーン: アルカディア王リュカーオーンにも、ブーコリオーンという名前の息子がいました。

これらのブーコリオーンたちは、ラーオメドーンの子ブーコリオーンほど詳しい物語は残されていませんが、ギリシア神話の系譜の中で名前が言及されています。

まとめ

ブーコリオーンという名前は、ギリシア神話において複数の人物に共通して用いられています。中でもラーオメドーンの子であるブーコリオーンは、トロイア王家の系譜の中で重要な役割を果たしており、彼の子孫や、トロイア戦争における悲劇的な運命と結びついて語られています。

その他のブーコリオーンについても、古代ギリシアの歴史や神話における人々の名前や系譜を理解する上で、重要な存在と言えるでしょう。

参考文献

アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫（1953年）
『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語　トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社（2001年）
パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎（1991年）
ホメロス『イリアス（上）』松平千秋訳、岩波文庫（1992年）
* 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店（1960年）

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