ラーダ・ヴェスタ

ラーダ・ヴェスタ：ロシアを代表する国民車

ラーダ・ヴェスタは、ロシアのアフトヴァース社が製造・販売する乗用車で、同社が展開するラーダブランドの主力車種です。ラーダ・プリオラの後継モデルとして2015年に発売され、瞬く間にロシア市場を席巻、国民車としての地位を確立しました。

開発と販売

ヴェスタの開発には約65億ルーブルもの巨額な費用が投じられました。日産・ルノー傘下のアフトヴァースは、日産のグローバルモデルであるダットサン・mi-DOをベースに、最新の技術と安全性を盛り込んだ新しい設計を採用。2014年には試作車の生産が開始され、2015年11月25日にセダンモデルの販売がスタートしました。当初予想を上回る人気により、2018年にはロシアで最も売れた車となりました。その後、ステーションワゴンやオフロード仕様などバリエーションも拡大し、更なる需要を喚起しています。販売価格は当初40万ルーブル程度と予想されていましたが、最終的には514,000ルーブルからという価格設定となりました。その後も価格改定が行われ、年々値上がり傾向にあります。

デザインと技術

ヴェスタは、ダットサン・mi-DOをベースにしながらも、より洗練されたデザインと高い安全性を実現しています。全長4.41m（セダン、ステーションワゴン）のボディは、プリオラよりも大型化され、広々とした室内空間を提供。フロントサスペンションは、L字型のレバーと5度の新しいステアリングナックルとキャスターを備えた独自設計で、ステアリングシステムはルノー・メガーヌからの技術を採用しています。ブレーキやラジエーターなど、一部のコンポーネントはルノー・日産の設計を流用することでコスト削減と信頼性の向上を両立しています。エンジンは、VAZ21129型を搭載。これは、ダットサン・mi-DOと同一設計のエンジンです。

2019年改良モデル

2019年11月には、大幅な改良が施されたモデルが発売されました。最大の変更点は、ルノー・H4MkエンジンとJatco JF015E型CVTの組み合わせによるCVT搭載車の登場です。CVT化による燃費向上と快適性の向上を実現しながらも、178mm（クロス仕様では203mm）の高い地上高を維持している点が大きな特徴です。この改良モデルでは、サイドミラーの空力性能向上、電動格納機能、ステアリングホイールヒーター、コーナリングライト機能付きフォグランプ、ドアストップ、フレームレスワイパーブレード、カップホルダーの改良など、細部にもわたる改良が加えられています。

グレードとバリエーション

ヴェスタは、「クラシック」、「コンフォート」、「ラックス」の3つの基本グレードが設定されています。セダンモデルには、更にシンプルな「スタンダード」パッケージと上級の「エクスクルーシブ」パッケージが用意されています。また、オフロード仕様の「Vesta Cross」、圧縮天然ガスも使用可能な「Vesta CNG」、ステーションワゴンの「Vesta SW」、そのオフロード仕様「Vesta SW Cross」、そしてスポーティな「Vesta SW Sport」など、豊富なバリエーションが用意されているのも魅力です。特に「Vesta Sport」は、1.8リッターエンジンを搭載し、最高出力145馬力、最高速度193km/hを誇るスポーティなモデルとして人気を博しています。

安全性

ヴェスタは、高い安全性も大きな特徴です。Auto Reviewによるクラッシュテストでは、高い評価を得ており、同クラスの他車種と比較しても遜色ない高い安全性を有しています。特に2018年には安全性が向上し、評価はさらに上がりました。

モータースポーツ

ヴェスタは、[世界ツーリングカー選手権]にも参戦。380馬力の1.6リッターターボエンジンを搭載したヴェスタTC1は、幾多の表彰台を獲得し、その高い性能を世界に示しました。

公共機関への導入

高い信頼性と性能から、ロシア連邦の交通警察や各地域の警察でも導入されており、広く使用されています。

まとめ

ラーダ・ヴェスタは、高いコストパフォーマンスと充実の装備、そして高い安全性を持つロシアを代表する国民車です。様々なバリエーションと改良を繰り返しながら、ロシア市場での地位を確固たるものにし続けています。今後、更なる進化が期待される一台です。

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