ラーダ・プリオラ

ラーダ・プリオラ：ロシアを代表する小型車の系譜

ラーダ・プリオラは、ロシアの自動車メーカー、アフトヴァース社が2007年3月から2018年7月まで製造・販売した小型乗用車です。同社のラーダ・110の後継モデルとして登場し、セダン、ステーションワゴン、ハッチバック、そして限定生産されたクーペなど、多様なボディタイプが特徴でした。2012年5月までに59万台以上が生産され、ロシア市場で高い人気を博しました。後継車種はラーダ・ヴェスタです。

多様なボディバリエーションと進化

プリオラは、複数のボディタイプを展開することで幅広い顧客層に対応しました。主なモデルは以下の通りです。

VAZ-2170 (4ドアセダン): 2007年3月に生産開始された基本モデル。
VAZ-2171 (5ドアステーションワゴン): 2009年5月に生産開始。
VAZ-2172 (5ドアハッチバック): 2008年2月に生産開始。
VAZ-2172 Coupé (3ドアハッチバック): 2010年1月より限定生産。
* VAZ-21708 Premier (ロングホイールベース版4ドアセダン): 2008年秋より少量生産。

生産期間中には、エンジン性能の向上や装備の充実など、継続的な改良が行われました。例えば、2011年には従来モデルより39％軽量化された90馬力エンジンを搭載したモデルが発表され、2011年8月にはCNG(圧縮天然ガス)併用モデルも登場しました。CNGモデルは、ガソリンとCNGの両方を燃料として使用でき、航続距離の拡大に貢献しました。しかし、2015年末には5ドアハッチバックと5ドアステーションワゴンの生産が終了し、4ドアセダンが主力モデルとなりました。

安全性と装備の向上

プリオラは、安全性能の向上にも力を入れていました。ベースグレードには運転席サイドエアバッグと電動パワーステアリングが標準装備され、その後、助手席エアバッグ、前席シートベルトプリテンショナー、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、パーキングセンサーなどを備えた上位グレードも登場しました。さらに、一部モデルには、クライメートコントロール付エアコン、Bluetooth対応オーディオ、前席ヒーター、オートマチックヘッドランプ、レインセンサーなどが標準装備されるなど、快適装備も充実していました。2010年にはマルチメディアシステム、2011年にはナビゲーションシステムがオプションとして追加されました。

一方で、プリオラには電子スタビリティコントロールやATミッションは設定されませんでした。搭載エンジンは、16バルブ1.6Lエンジンが中心で、2014年にはAMT(Automated Manual Transmission)を搭載したモデルも発売されました。このAMTは、一般的な5速MTをベースに電気油圧式アクチュエータとZFグループ製の電子制御ユニットを採用していました。1.8Lエンジンの搭載モデルは最高速度190km/h、0-100km/h加速10秒を達成しました。

ラーダ・110からの進化

プリオラは、前身モデルであるラーダ・110をベースに開発されましたが、設計面では950箇所を超える改良が加えられ、2000箇所を超える部品が新規採用されました。これは、ほぼ新規開発車と同等の改良規模と言えるでしょう。

市場での成功とモータースポーツ活動

プリオラは、2009年と2012年にはロシア市場で最も売れた車種となりました。また、ラーダ・スポーツチームは、2009年の世界ツーリングカー選手権にプリオラで参戦しました。

安全性評価

ロシアの安全性評価プログラムARCAPによる正面衝突テストでは、初期モデルは16点満点中5.4点という結果でしたが、改良を重ねた新型車は10.6点を獲得しました。

生産終了

2018年7月、アフトヴァース社はプリオラの生産終了を発表しました。長きに渡りロシア市場を支えたプリオラは、その役目を終え、ラーダ・ヴェスタへとバトンタッチしました。

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