ラーマーティボーディー1世

ラーマーティボーディー1世（生年不詳、1314年頃 - 1369年）は、アユタヤ王朝の創始者として知られています。即位以前はウートーン候と呼ばれていました。

生い立ちとアユタヤ王朝の建国

ウートーン候は、スコータイ王朝の支配下にあったスパンブリー（または、チエンセーンや中国とする説もあります）の国主でした。スコータイ王朝がモン族の反乱に直面した際、ウートーン候はこの反乱を鎮圧する功績を挙げ、頭角を現しました。1348年、スパンブリーでコレラとされる疫病が流行したため、彼は新たな都を建設することを決意し、現在のアユタヤに遷都しました。これがアユタヤ王朝の始まりとなります。

翌年、ウートーン候はアユタヤの別の場所へさらに遷都し、ラーマーティボーディー1世と称してアユタヤの王位に就きました。この時、彼は文武両道を重んじた行政組織を整備し、内務大臣、宮法大臣、大蔵大臣、農業大臣といった役職を設けました。また、中国、インド、ペルシャなどとの貿易を積極的に行い、内政の安定を図りました。

軍事遠征と領土拡大

内政が安定すると、ラーマーティボーディー1世は軍事的な活動を活発化させ、南方のマレー半島全域を占領しました。当時、マレー半島はスコータイの領土であったため、この侵攻はスコータイのリタイ王を激怒させ、クメール王朝の支援を受けてアユタヤへ軍を派遣しましたが、この遠征は失敗に終わりました。

ラーマーティボーディー1世は逆にクメールを平定し、その自治を認める形でクメールを掌握しました。さらに、スコータイに対しては討伐軍を送り、チャイナートを占領しました。しかし、スコータイ王サイルータイからの返還要求を受け入れ、後にチャイナートはスコータイに返還されました。

ラーマーティボーディー1世の出自に関する異説

17世紀にオランダ人のJeremias Van Vlietが著した『Renowned Legend』によると、ラーマーティボーディー1世は中国からの移民である中国系であったと記録されています。この説は、ラーマーティボーディー1世の出自に関する別の視点を提供しており、歴史研究における重要な論点となっています。

ラーマーティボーディー1世は、アユタヤ王朝を建国し、その後のタイの歴史に大きな影響を与えました。彼の治世は、政治、経済、軍事の各分野において重要な変革をもたらし、タイの歴史において重要な人物として位置づけられています。

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