リオム番号

リオム番号 (RV)

リオム番号（RV）とは、デンマークの著名な音楽学者であるペーター・リオム博士によって編纂された、イタリアの作曲家アントニオ・ヴィヴァルディ（Antonio Vivaldi, 1678-1741）の全作品を網羅した目録に付された整理番号です。RVという略称は、ドイツ語で「リオムの目録」を意味する「Ryom-Verzeichnis」に由来しており、ヴィヴァルディの作品を識別する際に国際的に最も一般的に使用されています。「RV OOO」と表記されるのが通例ですが、「RV.OOO」のようなピリオドを挟んだ表記も見られます。

特徴と配列

リオム番号の大きな特徴は、作品が特定の規則に基づいて配列されている点にあります。具体的には、まずジャンル別に分類され、その中でさらに調性順に番号が割り当てられています。この体系的な整理により、研究者や演奏家はヴィヴァルディの膨大な作品群の中から特定のジャンルや調性の楽曲を探し出すことが容易になりました。

ヴィヴァルディの作品整理に用いられる番号体系としては、かつてリナルディ番号やパンシェルル番号なども存在しましたが、現代の研究および演奏活動においては、このリオム番号が事実上の標準として広く用いられています。

作品の構成と番号帯

リオム番号における作品の並びは、大まかに分けてソナタ、協奏曲、そして声楽曲という主要なジャンルがこの順序で配置されています。より詳細な番号帯ごとのジャンル分類は以下のようになっています。

RV 1から37番: ヴァイオリンのためのソナタ
RV 38から47番: チェロのためのソナタ
RV 48から51番: フルートのためのソナタ
RV 52番: リコーダーのためのソナタ
RV 53番: オーボエのためのソナタ
RV 54から59番: ミュゼット、ヴィエール、またはフルートなどのためのソナタ
RV 60から79番: トリオ・ソナタ
RV 80から86番: 様々な編成によるソナタ
RV 87から108番: 室内協奏曲
RV 109から169番: 弦楽合奏のための協奏曲およびシンフォニア
RV 170から391番: ヴァイオリン協奏曲
RV 392から397番: ヴィオラ・ダモーレ協奏曲
RV 398から424番: チェロ協奏曲
RV 425番: マンドリン協奏曲
RV 426から442番: フルート協奏曲
RV 443から445番: ピッコロ協奏曲
RV 446から465番: オーボエ協奏曲
RV 466から504番: ファゴット協奏曲
RV 505から530番: 2台のヴァイオリンのための協奏曲
RV 531から539番: 2台の異なる楽器のための協奏曲（例: RV 537は2台のトランペットのための協奏曲）
RV 540から580番: 様々な楽器を含む協奏曲（合奏協奏曲形式を含む）
RV 581から585番: 2つのオーケストラのための協奏曲
RV 586から740番: カンタータ、モテット、宗教作品、オペラなどの声楽曲全般

補足番号

主要な作品番号に加えて、目録のその後の改訂や新たな発見に伴い、補足的な番号が付与されています。

RV 741から780番: 1974年刊行の初版に対し、1977年の第二版で追加された作品や情報に関する補足番号。
RV 781から812番: 2007年版の「ヴィヴァルディ作品目録（Vivaldi Werkeverzeichnis）」で新たに追加された補足番号。
RV 812番以降: それ以降の新発見や研究の進展によって加えられている最新の補足番号群。

なお、この目録には、現在所在が不明となっている紛失作品や、楽譜が不完全な状態で見つかっている作品なども含まれています。リオム番号は、ヴィヴァルディの多様で膨大な創作活動の全体像を把握するための、極めて重要な手がかりとなっています。

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