リオ・グランデ (アルゼンチン)

リオ・グランデ

リオ・グランデ（Río Grande）は、南米アルゼンチン共和国の最南端に位置するティエラ・デル・フエゴ州にある都市です。フエゴ島北部に位置し、地理座標は南緯53度47分、西経67度42分にあります。南大西洋に面しており、港湾機能も有しています。同州の州都ウシュアイアからは、北へ約212キロメートル離れた場所に位置しています。

概要と人口

2010年の国勢調査によると、リオ・グランデ市の人口は67,038人であり、これはティエラ・デル・フエゴ州内において最も人口が多い都市であることを示しています。その規模は、州都であるウシュアイアを凌ぎ、地域の中心的な役割を担っています。

歴史

リオ・グランデ市が現在位置する地域は、有史以前からセルクナム族などの先住民が移動しながら生活していた土地の一部でした。近代的な都市としての歴史は、1921年7月11日にリオ・グランデ村が設立され、本格的なアルゼンチン人による入植が開始されたことに始まります。初期の頃の人口は少なく、1941年時点では1,401人にとどまっていました。しかし、その後数十年にわたり人口は増加を続け、1980年には13,211人へと成長しました。特に、市域内に工場などが建設され工業化が進んだことが、その後の人口増加を加速させました。2000年には人口が52,681人に達し、州内最大の都市としての地位を確立しました。

経済

リオ・グランデの経済は多角的であり、伝統的な農業や商業活動に加えて、工業が重要な位置を占めています。近年では特にエレクトロニクス分野の生産が盛んであり、アルゼンチンの主要企業であるテルトン社や、韓国のサムスングループ関連の工場などが操業しています。これらの工場では、高精細度テレビ（HDTV）のような製品が製造されており、地域の雇用創出と経済発展に貢献しています。

交通

市域内には、エルメス・キハーダ国際空港（正式名称：ゴベルナドール・ラモン・トレホ・ノエル国際空港 Aeropuerto Internacional Gob. Ramón Trejo Noel）があります。この空港は、国内外からの航空便を受け入れており、リオ・グランデとアルゼンチン国内主要都市や一部国際地点との間の重要な交通結節点となっています。

気候

リオ・グランデの気候は、ケッペンの気候区分では「Cfc」に分類される、西岸海洋性気候の一種です。これは、年間を通じて冷涼であり、特に夏でも温暖とは言えない気候を示します。夏の時期にあたる12月から2月にかけても、日中の平均気温が11℃を超えることはほとんどなく、夜間や朝晩には最低気温が0℃を下回ることも珍しくありません。冬は南極大陸に比較的近い高緯度に位置するにもかかわらず、緯度の割には極端な低温になりにくい傾向があります。観測史上最低気温記録は-22.2℃ですが、最も寒い月の平均気温は-0.2℃と、高緯度としては比較的穏やかです。年間降水量は少なく、年平均で約330mm程度です。降水はやや夏に多い傾向が見られますが、全体としては年間を通して乾燥しています。平均気温が10℃を超える期間は、年間でわずか3ヶ月に限られる、厳しいながらも特徴的な気候環境にあります。

リオ・グランデは、その独特な地理的位置と気候、そして歴史的な発展を経て、ティエラ・デル・フエゴ州における重要な都市として現在に至っています。

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