リカルド・デ・マドラーソ

リカルド・デ・マドラーソの生涯と作品

リカルド・デ・マドラーソ（Ricardo Federico de Madrazo y Garreta、1852年2月7日 - 1917年8月18日）は、19世紀スペインの著名な画家です。彼はマドラーソ家の一員であり、その家系は多くの画家を輩出したことで知られています。特にオリエンタリズムの画家として名を馳せた彼のスタイルは、義兄であるマリアノ・フォルトゥーニからの大きな影響を受けています。

家族と教育

マドラーソは、スペインの首都マドリードに生まれました。彼の祖父、ホセ・デ・マドラーソは肖像画家で、父のフェデリコ・デ・マドラーソも同様に肖像画を専門とし、王立サン・フェルナンド美術アカデミーの校長を務めた著名な芸術家でした。マドラーソ家の芸術的伝統は、このように代々にわたり受け継がれてきました。母方の祖父タデウシュ・クンツェも画家であったため、リカルドは幼少期から絵画に親しむ環境で育ちました。

リカルドは、父から直接絵を学ぶことから始まりました。その後、王立サン・フェルナンド美術アカデミーで、著名な画家ホアキン・エスパルターや彫刻家のリカルド・ベルベル、ポンシアーノ・ポンツァーノといった指導者たちから教育を受けました。特に1866年、彼はフォルトゥーニと出会い、その才能に強く影響を受けます。翌年、彼の姉がフォルトゥーニと結婚したことで、二人は一層親しい関係を築くことになります。

フォルトゥーニとの関係

フォルトゥーニとの関係はリカルドの画家としての成長において重要な役割を果たしました。彼はフォルトゥーニの家族と共にトレドで暮らし、その後ローマにも移りました。兄ライムンドもフォルトゥーニのスタジオで画業に励むなど、家族全体が一つの芸術の輪を形成していました。

フォルトゥーニが1866年にパリに移った際、リカルドも同行し、美術館の作品を模写することで技術を磨きました。しかし、普仏戦争の始まりによりリカルドと兄はスペインに戻り、グラナダで新たな生活を始めました。1871年には、フォルトゥーニとジョセップ・タピロ・バロと共にモロッコを訪れ、オリエンタリズムにおける視座を広げる経験をします。フォルトゥーニは1874年に急死しましたが、リカルドはフォルトゥーニが描いたスタジオを整理し、彼の影響を受けた作品を発表する道を選びます。

キャリアと作品

フォルトゥーニ亡き後、リカルドはパリとマドリード、モロッコのタンジェを行き来しながら作品を描き続けました。1884年には結婚し、1885年からはマドリードで肖像画家としての活動を本格化させました。彼はスペイン王妃マリア・クリスティーナやアメリカの富豪アーチャー・ミルトン・ハンティントン、さらにはアメリカのウィリアム・タフト大統領の肖像画を手がけ、多くの著名人を題材にした作品を残しています。

結論

リカルド・デ・マドラーソは、オリエンタリズムの流れを受けつつ、肖像画の専門家としても高い評価を受けた画家です。彼の作品は、技術的な美しさと併せて歴史的な価値を持つものであり、今なお多くの人々に愛されています。その影響は、マドラーソ家が築いた芸術の伝統とも深く結びついています。

もう一度検索