リガ市電

リガ市電の概要

リガ市電（ラトビア語: Tramvaju satiksme Rīgā）は、ラトビアの首都、リガを走る路面電車です。この市電はリガの旧市街や新市街を網羅する大規模な路線網を有し、リガ市交通局によって運営されています。市電は、リガの公共交通の中でも特に利用者が多く、周辺のバスやトロリーバスとともに市民の移動手段として重要な役割を果たしています。

歴史的背景

リガ市電の歴史は1882年に遡ります。当初は馬車鉄道として3つの系統で営業を開始し、実業家E.L.デュポンによって設立された企業がその運営を行っていました。1888年には5系統に増加し、1900年からは電化への動きが始まりました。1901年には、7つの系統が電動の路面電車として走り始め、馬車鉄道は次第に姿を消していきました。

第一次世界大戦中は運行が一時的に停止するものの、1920年に運行が再開され、その後1931年にリガ市が公共交通機関を管理することとなります。1934年には、リガ市交通局が設立され、統合的な交通管理が進められました。第二次世界大戦を経て復興が進む中、地元の鉄道車両メーカーが製造した電車が導入される一方で、1962年には乗客自身で精算を行う信用乗車方式が導入されました。この頃から路線バスやトロリーバスの網も広がり、リガ市電の運行事情は変わっていきました。

1980年代には新たな路線の開通があり、さらに1991年にラトビアが独立を回復した後、既存の車両の近代化が進められました。2000年代に入ると、超低床電車の導入や線路の刷新が行われ、利用者数も増加の一途をたどりました。2019年度には、リガ市電の利用者数は246万人を超えました。

現在の運行状況

2020年時点で、リガ市電では8つの系統が運行されおり、市内中心部から放射状に路線が展開されています。また、全系統に共通する電停もあり、特に注意が必要な駅があります。運賃は「e talons」という電子チケットを使用し、各所で購入可能です。初乗り運賃は1.15ユーロで、乗車時や降車時にカードリーダーにタッチする必要があります。自転車や手荷物は無料とされていますが、ペットには追加料金が適用されます。

車両の種類

リガ市電の車両は多様で、2020年には以下の主要な車両が在籍しています。

• - T3: 1974年から導入されたモデルで、ソビエト連邦仕様の車両が多く、利用されています。これらは機器更新を経て、現在も運用されています。
• - T3M: T3の後継車両として1988年から導入され、旧型車両を置き換える形で利用されてきました。
• - 15T: チェコ製の超低床車両で、近代化計画に基づき導入され、特定の系統で使用されています。
• - レトロトラム: リガ市電開業100周年を記念して製造されたレトロ調の電車で、特定の日に特別運行を行っています。

これらの車両は、それぞれ異なる特徴を持ち、リガ市の交通を支える重要な存在となっています。今後もリガ市電は、地域の輸送手段としてさらに進化し続けることでしょう。

もう一度検索