リキシャ県

リキシャ県：自然と歴史が織りなす東ティモールの縮図

リキシャ県は、東ティモールの北海岸に位置する県であり、県都はリキシャです。その地理的な特徴、歴史、文化、そして資源について詳しく見ていきましょう。

地理

リキシャ県は、東ティモール北海岸に位置し、ディリ県、アイレウ県、エルメラ県、ボボナロ県と接しています。サヴ海に面しており、543平方キロメートルの面積に、約7万人の人々が暮らしています。ポルトガル統治時代から県としての組織が存在しており、バザルテテ、リキシャ、マウバラの三つの地区で構成されています。

県内には、首都ディリからリキシャへ向かう道から望めるオンバイ海峡をはじめ、美しい風景が広がります。海岸線は岩が多いですが、その美しさは際立っています。山岳地帯から海へと流れる河川は、雨季を除いてはほとんど干上がっています。雨季には幹線道路がしばしば損傷しますが、地元住民の協力によって修復されています。ただし、マラリアやデング熱を媒介する蚊が多いため、注意が必要です。

言語面では、東ティモールの公用語であるテトゥン語とポルトガル語に加え、ほとんどの住民がマレー・ポリネシア語派のトコデデ語を日常的に使用しています。

歴史

17世紀には、現在のマウバラ地区にオランダが進出しました。海岸沿いにはオランダが築いた要塞が残っており、湾を見下ろす場所には当時の大砲が設置されています。その後、1859年にポルトガルとオランダ間で協議が行われ、1861年にフローレス島と交換されたことで、リキシャ県はポルトガルによる統治下となりました。

1975年からのインドネシア占領時代には、インドネシア政府によって多くの建物が建設されました。しかし、1999年の住民投票後、民兵によってそれらのほとんどが破壊されました。特に、1999年4月には県内の教会で多くの東ティモール人が虐殺されるという悲劇が起こりました。また、マウバラ地区は凶悪な民兵組織「ベシ・メラー・プティー」の結成地でもあります。

1999年9月には、国際警察のアメリカ人警官がインドネシア兵に狙撃される事件が発生しました。この事件をきっかけに、国連軍は県から撤退しました。その後、同年9月から11月にかけて、国際連合平和維持活動平和維持軍がマウバラ地区に、国際警察がリキシャ市街に本部を設置しました。国際警察隊は、スウェーデン人、カナダ人、イギリス人、ガーナ人、マレーシア人、アメリカ人など、多国籍のメンバーで構成されていました。この期間中、国際警察は虐殺の起こった教会を民兵の収容所として利用しました。国連平和維持軍はポルトガル海兵隊のメンバーが中心となっていました。その後も、リキシャ県には国際連合東ティモール暫定行政機構犯罪現場派遣団の作戦本部が置かれました。

建築物

ポルトガル統治時代には、東ティモール人が建てた伝統的な小屋が主で、他に建物はほとんどありませんでした。インドネシア占領時代には多くの建物が建設されましたが、1999年に民兵によって多くが破壊されました。しかし、ポルトガルが建設した建物は被害を免れました。その後、破壊されたインドネシアの建物は多くが再建されており、芸術的かつ独創的なインドネシア様式が特徴的です。

資源

リキシャ県には、美しい砂浜が広がっており、観光地としてのポテンシャルを秘めています。また、コーヒー農園が点在する他、金などの鉱物資源も産出されます。これらの資源は、地域経済の発展に貢献しています。

リキシャ県は、その自然の美しさと歴史的な背景から、東ティモールの多様性を象徴する地域です。過去の紛争の記憶を抱えながらも、住民たちは復興と発展に向けて努力を続けています。

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