リサール記念日爆破事件

リサール記念日爆破事件（2000年12月30日）

2000年12月30日、フィリピンの首都マニラとその周辺で、同時多発的な爆破事件が発生しました。この日は、フィリピンの国民的英雄ホセ・リサールの殉教を記念する「リサール記念日」であり、国民の祝日でした。爆発は数時間のうちに連続して発生し、22人が死亡、100人以上が負傷するという大惨事となりました。

爆破事件の概要

爆発は、1時間以内にほぼ同時に5つの場所で発生しました。これらの場所はすべて、ルソン島のマニラ首都圏内に位置していました。

プラザ・ファーガソン（マラテ、マニラ）: 米国大使館から100メートル以内の場所で爆弾が爆発しました。
ガソリンスタンド（マカティ）: マカティの中央ビジネス地区にあるガソリンスタンドで爆弾が爆発しました。この爆発では、地元の爆弾処理班の警察官2名が殉職しました。
ニノイ・アキノ国際空港（NAIA）: 空港の荷役エリアが爆撃されました。
バス車内（ケソン市）： エドゥサ通りを走行中のバス車内で爆弾が爆発し、1人の乗客が死亡し、数人が負傷しました。
LRT-1線 ブルーメントリット駅: 最も多くの死傷者を出した爆発は、ブルーメントリット駅のLRT-1列車の運転台で発生しました。

使用された爆発物

フィリピン国家警察（PNP）の調査によると、爆弾には時限装置が仕掛けられており、黒色火薬が約1キログラム使用されていたとされています。また、有罪判決を受けた犯人の証言では、爆弾は硝酸アンモニウムをベースとした爆発物であったと説明されました。爆弾の構成要素の多くは、違法漁業で使用される雷管の製造で知られるセブ州南部のタリサイ市に由来することが判明しました。

犯人

当初、ジェマ・イスラミア（JI）、モロ・イスラム解放戦線（MILF）、モロ民族解放戦線（MNLF）など、複数のイスラム系グループが関与しているとされました。しかし、捜査が進むにつれて、事件への関与が疑われたグループは絞られていきました。

2003年5月、Saifullah Yunos（別名ムクリス・ユノス）が、カガヤン・デ・オロでマニラ行きの飛行機に搭乗しようとした際に逮捕されました。彼は、顔と腕に多数の包帯を巻いていたことが警察の注意を引きました。その後、彼は爆破事件への関与を自供しました。彼はMILFの特別作戦グループのメンバーであり、複数の殺人罪と殺人未遂罪で起訴されました。

翌年、ジェマ・イスラミアのメンバー数名が爆破事件に関与した疑いで逮捕されました。2004年には、ママサオ・ナガ（別名ザイナル・パクス）とアブドゥル・パタ（別名モハマド・アミール）が、マラウイ市でフィリピン軍に逮捕されました。彼らは、Fathur Rahman Al-Ghoziによって、LRT-1列車運転台爆破事件の実行犯として特定されました。

MILFとMNLFは、後にフィリピン国家警察によって事件への関与の疑いが晴らされました。

インドネシア国籍で、ジェマ・イスラミアのメンバーであるFathur Rahman Al-Ghoziは、爆発物の違法所持で有罪判決を受け、懲役17年を言い渡されました。しかし、2003年7月に他の数名の共犯者と収容所から脱走し、同年10月13日にフィリピン当局との銃撃戦で死亡しました。

2009年1月23日、ムクリス・ハジ・ユノス、アブドゥル・ファタク・パウテ、ママサオ・ナガの3名が、複数の殺人罪と殺人未遂罪で有罪判決を受け、懲役20年以下の刑を言い渡されました。

事件後の影響

爆破事件から約6年後の2006年12月、マニラ首都圏の警察は、爆破事件の記念日におけるテロ攻撃の可能性を警戒し、警戒態勢を強化しました。フィリピン軍は、ボニファシオ砦とルネタに爆弾処理班と医療チームを配備しました。また、PNPの爆発物処理班とSWATは、爆破地点の1つに近いタフトアベニュー沿いのLRT-1駅に展開しました。

この事件は、フィリピンにおけるテロ対策の重要性を再認識させ、その後のテロ対策強化につながる教訓となりました。

参考資料

"Terrorism and Counter-Terrorism in Asia: The Philippine Perspective". September 14, 2005時点のオリジナルよりアーカイブ。December 30, 2006閲覧。
* "News Summaries on Selected Topics, Mindanao Conflict, January - March 2001". December 10, 2006時点のオリジナルよりアーカイブ。December 30, 2006閲覧。

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