リズム&ヒューズ・スタジオ

リズム&ヒューズ・スタジオ：ハリウッドVFXの歴史に名を刻んだ老舗スタジオの興亡

リズム&ヒューズ・スタジオ(Rhythm & Hues Studios)は、アメリカを代表するVFX制作会社として、長年に渡りハリウッド映画やテレビ業界に貢献した企業です。1987年、6人のメンバーによって設立された同社は、設立当初から自社開発ツールを用いたVFX制作に力を入れており、業界の中でも特に歴史が古いスタジオの一つとして知られていました。創業メンバーの一人であるジョン・ヒューズは、社名にもその名を残しています。社名は、音楽ジャンルであるリズム・アンド・ブルースの「ブルース」と、ジョン・ヒューズの名字「ヒューズ」、そして色相を意味する「Hues」を掛け合わせたものです。

高品質なVFX技術で名を馳せる

当初はテレビCMやテーマパーク映像制作を手掛けていたリズム&ヒューズですが、早くから高い技術力を誇っていました。特に1993年に制作したコカ・コーラ社の白熊が登場するCMシリーズは、当時としては非常にリアルなCG白熊が大きな話題となり、同社の技術力の高さを世に知らしめました。

その後、同社は『マウス・ハント』(1997年)、『スクービー・ドゥー』(2002年)、『ガーフィールド』(2004年)、『アルビン/歌うシマリス3兄弟|アルビン_歌うシマリス3兄弟』(2007年)など、動物を主人公とした映画作品で数々の優れたVFXを制作。動物やアニメーションVFXを得意とするスタジオとして、業界内で高い評価を獲得しました。しかし、同社は動物やアニメーション作品だけでなく、多くのハリウッド大作映画にも携わり、その技術力は高く評価され、アカデミー視覚効果賞を3度受賞するなど、数々の功績を残しています。また、長年勤続するベテラン社員も多いことでも知られていました。

世界規模での展開と倒産

設立当初はハリウッドのシカモア通りに本社を構えていたリズム&ヒューズは、その後ロサンゼルスのプラヤビスタ、そしてエルセグンドへと移転。事業拡大に伴い、カナダ、インド、マレーシア、台湾にも制作拠点を展開し、グローバルなVFX制作体制を築きました。しかし、2013年、経営悪化により連邦倒産法第11章を申請し、倒産。その後、プラナ・スタジオ社に買収されました。

同社の倒産劇は、アメリカのVFX業界が抱える問題点を浮き彫りにしました。スタッフ2人が制作したドキュメンタリー動画『Life After Pi』では、同社の設立から倒産までの経緯が詳細に描かれ、業界の厳しい現状や問題点が訴えられています。

数々の名作に貢献したVFX技術

リズム&ヒューズ・スタジオは、『ベイブ』(1995年)、『ライラの冒険/黄金の羅針盤』(2007年)、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012年)など、数々のアカデミー賞ノミネート・受賞作品に携わりました。その他にも、『ウォーターワールド』(1995年)、『X-MEN』(2000年)、『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)、『スパイダーマン』(2002年)など、ハリウッドを代表する数々の作品でVFX制作に貢献しています。

テレビドラマにも積極的に参加しており、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『ウエストワールド』、『ザ・ボーイズ』など、近年話題となった作品にも携わっています。

まとめ

リズム&ヒューズ・スタジオは、その高い技術力と長年の実績から、ハリウッドVFX業界に大きな足跡を残しました。しかし、その歴史は、VFX業界を取り巻く厳しい競争や経営環境を示す一つの例とも言えるでしょう。彼らの功績は、これからもVFXの歴史の中で語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索