リチャード・フィッツアラン (第11代アランデル伯)

リチャード・フィッツアラン：波乱の生涯を送ったアランデル伯

リチャード・フィッツアラン（1346年 - 1397年）は、第11代アランデル伯爵として、中世イングランドの政治に深く関わった人物です。彼はリチャード2世の治世において、国王に反発する貴族の一人として台頭し、一時は権力を掌握しましたが、最終的には国王の逆襲に遭い、処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。

生い立ちと爵位継承

1346年、リチャードは第10代アランデル伯リチャード・フィッツアランとその妻エレノア・オブ・ランカスターの間に、アランデル城で生まれました。1376年に父が亡くなると、彼はアランデル伯位を継承し、貴族としての地位を確立します。1377年には西部および南部の海軍長官に任命され、1386年にはガーター騎士団のナイトに叙任されるとともに、全イングランドの海軍長官に就任するなど、順調にキャリアを重ねていきました。

反国王派への転身

しかし、リチャード2世はアランデル伯のような旧世代の貴族を遠ざける傾向にあり、これに不満を抱いたアランデル伯は、次第に反国王派へと傾斜していきます。1384年の議会では、彼は公然と国の危機を訴え、国王の怒りを買いました。その後、グロスター公トマス・オブ・ウッドストックやウォリック伯トマス・ド・ビーチャムらと共に、訴追派貴族と呼ばれる党派を形成し、国王側近の初代サフォーク伯マイケル・ド・ラ・ポールを弾劾して投獄に追い込みました。

訴追派貴族としての活動

1387年、訴追派貴族は国王軍を破り、宮廷と議会を掌握しました。翌1388年には非情議会を招集し、国王側近に次々と死刑判決を下すなど、その勢力を拡大しました。しかし、国王廃位については諸侯の意見が一致せず、見送られることとなりました。その後、国王が調停役として手腕を発揮し始めると、国王の権威が回復し、アランデル伯らは解任されることとなります。

没落と処刑

国王は、訴追派貴族への復讐の機会をうかがっており、1397年7月、アランデル伯はグロスター公やウォリック伯と共に逮捕されました。グロスター公は暗殺され、アランデル伯とウォリック伯は裁判にかけられ、1386年から1388年の訴追派貴族の行動は大逆罪にあたると告発されました。リチャード2世は、アランデル伯がサイモン・バーリーを冤罪で処刑した責任を追及し、彼に死刑を宣告しました。アランデル伯は赦免を求めましたが、却下され、1397年9月21日に斬首刑に処されました。

死後の名誉回復

1399年、リチャード2世がクーデターによって王位を追われ、ヘンリー4世が即位すると、アランデル伯の私権剥奪は解除され、息子のトマス・フィッツアランが爵位を回復しました。

家族

リチャードは生涯で二度の結婚をしています。最初のエリザベス・ド・ブーンとの間には1男4女を儲け、二度目のフィリッパ・モーティマーとの間には1男を儲けています。

まとめ

リチャード・フィッツアランは、その波乱に満ちた生涯を通して、中世イングランドの政治情勢を色濃く反映した人物と言えるでしょう。彼の生涯は、権力闘争の激しさと、時代の流れの速さを物語っています。

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