リチャード・ホール (画家)

リチャード・ホール：国際的に活躍したフィンランド人画家

リチャード・ホール（Richard Hall、1860年4月18日 – 1942年6月23日）は、フィンランド生まれの画家であり、肖像画を中心に制作しました。彼はヨーロッパ、アメリカ、南米と活動の拠点を移し、国際的なキャリアを築きました。

生い立ちと教育

ホールはフィンランド南西部のポリで生まれました。父親はイギリス人の実業家で、祖父の代からフィンランドに移住した家系でした。その後、家族はヘルシンキ、ロンドン、ストックホルムへと移り住みます。15歳でストックホルムのスウェーデン王立美術院に入学し、ゲオルク・フォン・ローゼン、アーギュスト・マルムストレム、エドヴァルド・ペルセウスといった画家に師事しました。

美術院では数々の賞を受賞し、リッカルド・ベリ、オスカル・ビョルク、ブルーノ・リリエフォッシュ、アンデシュ・ソーンなど、同世代のスウェーデンの画家たちと交流を深めました。

パリでの修行と肖像画家としての確立

美術院卒業後、ホールはパリに留学し、リッカルド・ベリと共同でスタジオを構えました。ジャン＝ポール・ローランス、ラファエル・コラン、ジャン＝ジョセフ・バンジャマン＝コンスタンといった著名な画家に学び、アルベルト・エデルフェルトやヴィッレ・ヴァルグレンといったフィンランド出身の芸術家とも親交を深めました。

当初は風俗画を描いていましたが、次第に上流階級の人々の肖像画を専門とするようになります。1883年からはパリのサロンに作品を出展し、ジョルジュ・プティの画廊でも作品を展示しました。

アメリカとアルゼンチンでの活動

1902年、ホールはアメリカの富豪、ウィリアム・キッサム・ヴァンダービルトに招かれ、ニューヨークに移住しました。ヴァンダービルト家をはじめとするニューヨークの上流階級の人々の肖像画を数多く手がけました。1903年と1907年にはニューヨークのノードラー商会の画廊で作品を展示し、1904年と1905年にはロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの展覧会にも出展しました。

1915年、ホールはアルゼンチンに移住し、リゾート地のマル・デル・プラタに居を構えました。アルゼンチンでは画家として活動する傍ら、「El Hogar」や「El Mundo」といった雑誌や新聞を発行する出版社(Editorial Haynes)でイラストレーターとしても活躍しました。

1942年、ホールはブエノスアイレスで生涯を閉じました。彼の作品は、ヨーロッパ、アメリカ、アルゼンチンと、彼が活動した各地の文化と社会を反映しています。

私生活

1881年に結婚し、2人の子供をもうけました。ブルターニュで6年ほど暮らしましたが、1891年に妻が亡くなりました。1906年に再婚しています。

故郷フィンランドでの作品展示は1909年の一度きりでしたが、両親に会うためにしばしばフィンランドを訪れました。

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