リッスン・ライク・シーヴズ

アルバム『リッスン・ライク・シーヴズ』について

オーストラリアのロックバンドINXSが1985年にリリースしたアルバム『リッスン・ライク・シーヴズ』は、バンドの5作目のスタジオアルバムです。この作品は、全世界での知名度を高める契機となり、オーストラリアのケント・ミュージック・レポートのアルバムチャートで2週間に渡って首位を獲得しました。また、アメリカのBillboard 200では最高11位、カナダのRPM100アルバムでも24位にランクインし、広く認識されることになりました。

アルバムには「ホワット・ユー・ニード」が収録され、この曲はバンドにとっての最初の全米トップ5ヒットとなりました。さらに、同曲はカウントダウン音楽・ビデオ賞で最優秀ビデオ賞を獲得し、INXSの名声を一層高める要因となりました。このアルバムは、プロデューサーのクリス・トーマスとの協力で制作され、以降の作品でも彼との関係が続くこととなります。

バンドの背景

INXSは1977年にシドニーで結成されて以来、独自のスタイルを持ち続け、徐々に注目を集めるようになりました。メンバーには、アンドリュー・ファリス（ギター、キーボード）、ジョン・ファリス（パーカッション、ドラム）、ティム・ファリス（ギター）、ギャリー・ビアーズ（ベース）、マイケル・ハッチェンス（リードボーカル）、カーク・ペンギリー（ギター、サックス、ボーカル）などが名を連ねています。

前作『スウィング』はオーストラリア国内での成功に留まりましたが、INXSはその結果に満足せず、音楽的な冒険を求めていました。前作のレコーディングはニューヨークとオックスフォードシャーで行われましたが、彼らは再びシドニーに戻り、クリス・トーマスと共に新たな作品に取り組み始めます。

録音と制作

『リッスン・ライク・シーヴズ』は、シドニーにあるリノセロス・スタジオで3ヶ月にわたり制作されました。この期間中、主にハッチェンスとアンドリュー・ファリスが楽曲を共同制作し、多くの曲が生まれました。しかし、制作が進む中、プロデューサーのクリス・トーマスは「決定的なヒットがない」と告げ、バンドはその言葉を受けて数日間スタジオを離れることを決意しました。

これにより、メンバーはアルバム制作のためにもう一曲作ることを目指すことになり、その結果、ヒットシングル「ホワット・ユー・ニード」が誕生しました。この曲は、クリス・トーマスが選んだデモを基に作られ、バンドにとって重要な成功の一歩となりました。

アルバムの評価

『リッスン・ライク・シーヴズ』に対する批評家の評価は高く、オールミュージックのスティーヴン・トマス・アールワインは、バンドが「優れたロックン・ロールのシングルを次々と生み出す存在に変貌した」と評価しています。しかし同時に、批評家は新たな編成が機能するのは限られた3曲だけであるとも記しています。

音楽学者のイアン・マクファーレンは、アルバムのサウンドがよりハードになっている一方で、従来のポップな魅力が欠けているという見解を示しました。『ローリング・ストーン』誌のパーク・ピューターバウも、INXSがかつてない音響の融合を実現したと評価し、そのバランスが成功を生み出していると指摘しています。

シングルのリリース

アルバムからは「ホワット・ユー・ニード」をはじめ、「ジス・タイム」や「キッス・ザ・ダート」など複数のシングルがリリースされました。これらのシングルはさらにバンドの人気を高める要素となりました。特に「ホワット・ユー・ニード」は、様々な国で異なるバージョンが存在しそれぞれのファンに広まっています。

結論

INXSの『リッスン・ライク・シーヴズ』は、バンドの音楽的成長を象徴する作品であり、多くの人々に愛され続けています。その革新的なアプローチと見事なサウンドは、今もなお多くの音楽ファンに影響を与えています。

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