リッチモンド (ブリティッシュコロンビア州)

リッチモンド：多様な文化が息づくカナダの都市

リッチモンドは、カナダのブリティッシュコロンビア州南西部に位置する都市で、メトロバンクーバーに属しています。バンクーバー市と隣接しており、バンクーバー国際空港があることで、国内外からのアクセスが容易な都市です。この都市は、多様な文化が共存しており、特に中華系の住民が多いことで知られています。

歴史

リッチモンドという名前は、1862年の州のパンフレットに登場したのが最初です。1879年に地区として設立され、1990年に市制が施行されました。ルル島の南西端にあるスティーブストンは、かつてヨーロッパ人と日本人のコミュニティが栄えた場所で、歴史的な史跡や博物館が残っています。現在も多くの漁船が港に停泊しており、漁業の歴史を今に伝えています。1980年代以降、中華圏からの移民が急増し、急速な都市成長を遂げました。現在では、住民の半数以上が中国系であり、カナダ国内でも特に中華色が強い都市となっています。

地理

リッチモンドは、フレーザー川の河口デルタ地帯に位置し、ルル島、シー島、および13の小さな島々で構成されています。総面積は129.66平方キロメートルです。西部はジョージア海峡に面しており、ルル島の南部にはフレーザー川の本流が流れています。市内には、北米でも有数の規模を誇る仏教寺院「カナダ霊岩山寺」があります。

人口

2016年の国勢調査によると、リッチモンドの人口は198,309人で、メトロバンクーバー内ではバンクーバー、サレー、バーナビーに次いで4番目に人口が多い都市です。1990年代に急成長を遂げましたが、その後人口増加率は鈍化しました。しかし、スカイトレインの開通により、再びコンドミニアムなどの建設ラッシュが続いています。

民族

リッチモンドは非白人の割合が高い都市の一つで、住民の約半分がアジア系です。特に、1990年代初頭にかけて、香港、台湾、中国大陸からの移民が多く、住民の半数以上が中国系です。2016年の統計では、華僑・華人の割合が市内人口の約53％に達しています。インド、フィリピン、日本からの移民も多く、1800年代まで遡る歴史があります。日系人コミュニティは、第二次世界大戦中に強制移住させられ、コミュニティが一度壊滅しましたが、現在では3,940人と規模を回復し、人口の2%を占めています。特にスティーブストンは、日系カナダ人の集住地域として知られています。

言語

リッチモンドでは、中国語と英語の併記が多く見られ、広東語と中国語がそれぞれ約2割を占めています。日系人コミュニティも存在するため、日本語も使用されており、2016年の国勢調査によると、母語話者は2,150人です。

交通

バンクーバー都心部とは、スカイトレインのカナダ・ラインで結ばれており、市内には7つの駅があります。バンクーバー国際空港は、西部カナダの玄関口として機能しており、スカイトレインのカナダ・ラインで空港ターミナルに直結しています。

経済

リッチモンドの主な産業は、サービス業、小売業、観光業、軽工業、空港サービス、航空、農業、漁業、官庁などです。ハイテク産業も盛んで、任天堂カナダ社なども進出しています。農業も盛んで、特にブルーベリーとクランベリーの栽培が有名です。市内では、州内のクランベリーの約47％が栽培されています。

ショッピングモール

リッチモンドは、アジアをテーマにしたショッピングモールの多さでカナダ最大であり、アジア系コミュニティの規模でも北米で2番目です。アバディーン・センターには、アジア系の店舗が多く入居しており、大創産業が2003年に北米1号店をオープンしました。市内には、リッチモンド・センター、ランズドーン・センター、マッカーサーグレンデザイナーアウトレットバンクーバー空港などのショッピングモールがあります。また、パーカープレイスやアバディーン・センターといった中華系モールも人気です。

冬季オリンピック

2010年バンクーバーオリンピックでは、リッチモンド・オリンピックオーバルでスピードスケート競技が開催されました。

姉妹都市

リッチモンドは、和歌山市（日本・和歌山県）と姉妹都市提携を結んでいます。

リッチモンドは、その豊かな文化、歴史、そして経済的な活気により、カナダ国内でも重要な都市の一つです。

もう一度検索